1st season
7th night
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した伝説なんかいらねぇ……俺の手でカタをつけてやるさ」
ロータリー乗りの師匠を隣で見続けてきた「雷光の疾風」、覚醒の時は近い。
3台がもつれながらもバトルは続行、現在は平和島を通過。前を行くランエボとインプレッサの挙動が少しずつ乱れだし、立ち上がりで十分にアクセルを踏み込めない。
「くっそ、タイヤもブレーキも限界か……目一杯踏み込んで突っ込んでるのに、なんで奴は平然とついてきやがる!?」
エボXの青年の焦りとインプレッサの迷いが、挙動の乱れとなってチラチラと隙を見せ始めた。それを見た彼は少しずつラインを変え、攻めの姿勢へと移る。
「そろそろ決めるか。よく見ておけよ」
羽田トンネル出口の右コーナー進入でアウトにラインを振った2台だが、RX−8はそのイン側を悠々と抜けていく。勝負どころまでコンディション低下を限界まで抑え、スムーズに決着をつけた。当たり前のことを当たり前に、しかし高いレベルでこなす。彼はまさに職人ドライバーと言えよう。
「ざっとこんなもんだ。ロータリーでも乗り方考えりゃ、案外どうにかなるもんさ。ましてやNAだからな、俺のみたいにカタツムリついてるよりは負荷は軽いもんよ」
「……すげぇ」
これには「雷光の疾風」も開いた口が塞がらない。自分があえて避けてきた、長い距離を走り続けてからのバトルに平然と挑み、かつ鮮やかに置き去りにしていく。時代や車重に差があるとはいえ、彼でなければとろうとしない戦術だったろう。
「ただし、こんな長いバトルはできて一日に1回きりだ。タイヤやブレーキだって下手っていくし、そもそも熱に弱いコイツに無茶させちまうと、いざってときに限界超えてブロー。運が悪けりゃスクラップ間違いなしだ。人間の集中力にも限界があるしな」
「ええ、ソレは痛いほどわかってます」
「ならよし。今日シートで感じた感覚を忘れるなよ」
「はい……ありがとうございました」
ドライバーはバックミラーに2台が映っていないことを確認すると、RX−8のペースを落としてそのまま静かに今宵のステージを終えた。
同じころ。ガレージ・フェイトを訪れる一人の青年がいた。DC2インテグラを持ち込み、タバコをふかしながら店員と何やら話し込んでいる。
「連絡受けたから来たけども、お前さんがこんな立派な店構えてたとはな……」
「まぁ、なんとかやりくりしてるって感じだな。あのど変態メカの腕のおかげだよ」
「あのど変態、腕だけはいいからな。売り物は普通に仕上げてくれるからいいけどさ」
彼らは大学時代の自動車サークルからの付き合い。インテグラの青年はそのまま就職を決め、「金色の不死鳥」は自動車整備士としての経験を経てから当時の仲間を引き連れて独立し、今は企業経営に頭を悩ませる日
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