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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十五話 病室の時間
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で看病してくれたというわけではなく、先輩看護師数名のサポートとして姉さんのお世話をしてくれていた。

 それがまた俺がリンシアさんを信頼する理由の一つなわけだけど、地球で生活するのに伴ってリンシアさんたちはその担当を外れ、海鳴市の病院の看護師が見ていてくれる。

「良くも悪くも変わらない感じです」

「そうですか……。 早く目覚めてくれるといいですね」

「そうですね」

 分かっていた回答だろうけど、リンシアさんの表情は暗くなる。

 リンシアさんにとって俺たち姉弟は一番長い付き合いのある患者で、だからこそその後が気になってしまうのだろう。

 今、リンシアさんは15歳にして看護師長補佐に任命されるほど偉くなって、その分多くの患者の面倒を見ている。

 既に退院したり、転院した人のことまで心配している余裕なんてないはずなのに、こうして心配してくれるのは俺としてはすごく嬉しい。

 姉さんを思ってくれる人は一人でも多くいてほしいから。

「リンシアさん、ありがとうございます」

「いきなりですね」

「いつも思ってることですよ」

「いえいえ、感謝なら、私も思ってますよ」

「俺に?」

「もちろん」

 笑顔で頷くと、リンシアさんは少し遠くを見つめるような目になって話す。

「私がここで働いて間もない頃に黒鐘さんの担当になって、沢山失敗したのに、黒鐘さんは一度も怒ったり文句を言ったりしませんでしたから」

「まぁ、確かにないですね」

「本来、私のように失敗が多いとすぐに担当を外されるものなんです。 実際、黒鐘さん以外の患者さんの担当は全員外されました」

「え?」

 それは初耳だった。

 あの頃、てっきり俺だけを担当していたのだと思っていた。

 新人だし、一人の患者から色々勉強するものだと思っていたけど、どうやら当時から数名の患者をお世話していたようだ。

「注射、いっぱい失敗しましたから」

 自嘲気味な笑みに、俺はあぁと納得が言ったように苦笑をこぼす。

 俺も沢山の刺し痕が残った……というか今も少し残ってる。

 注射一回にかなり恐怖する人が多い中で何度も失敗すれば、そりゃ担当を外せと言われても無理はない。

 そこに新人もベテランも関係ない、か。

「新しい患者さんを担当する度に失敗して外されてましたから、すごく落ち込んでて」

「そうだったんですか」

「ええ。 だけど、黒鐘さんだけは私を外さないでくれましたから」

「それだと俺が刺されるのが好きみたいな感じがするんですけど?」

「そうかもってちょっとだけ思ったこともあります」

「おいおい」

 困り顔でツッコミを入れると、リンシアさんは小さく微
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