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女寿司職人
第三章
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 一貫一貫巻いていってそれを出した、すると客達はその寿司を食べて言った。
「あっ、美味いな」
「飯もネタもな」
「いい感じだな」
「どれも」
 学校の文化祭なので贅沢ではないがだ。
「寿司の屋台もいいよな」
「そういえば珠緒ちゃんいたんだ、チアリーディング部って」
「だから美味いんだな」
「そうかもな」
 次から次に売れていき店は繁盛していた、それで部員達は次々に握っていくが部員達の中にはどうしても上手に握れない後輩の娘がいた。
 だがその娘にだ、珠緒は一切怒らずに丁寧に教えていた。
「こうすればいいから」
「そうすればですか?」
「そう、あと切るのもね」
 ネタのそれもというのだ、珠緒は実際に包丁を握って切りながら教えた。
「こうするの」
「包丁の握りは五本の指で、ですね」
「しっかりと持ってね」
 そうしてというのだ。
「利き腕で持つの」
「私の場合右手ですね」
「そう、それで左手を添えるけれど」
 切るネタにだ。
「その手の指はこうしてね」
「先は収めてですね」
「失敗しても切らない様にするの」
「それがいいんですね」
「そうしてね」
「わかりました」
 後輩の娘も頷いてだ、そしてだった。
 珠緒に言われるままやっていっていた、だが不器用で動きはたどたどしく失敗も多かった。だが珠緒はその彼女を全く怒らないでだ。
 ずっと丁寧に教えていた、それは寿司が全部売れるまででだ。その彼女を見て同級生の部員達は彼女に尋ねた。
「ずっと丁寧だったわね」
「怒ったりしないで」
「殴ったりとかも」
「あの娘部活の時よりずっと不器用だったけれど」
「怒らなかったわね」
「いや、お父さんに言われて私もそうだって思ってるから」
 それでだとだ、珠緒は彼女達に答えた。
「お寿司を握っていてもね」
「殴ったり怒鳴ったりはなの」
「したら駄目だっていうのね」
「寿司職人の世界って厳しいっていうけれど」
「それはしないのね」
「そう、そんなことしても握るのが上手にならないから」
 だからだというのだ。
「そうしてるの」
「そうなのね」
「そこは昔のお寿司屋さんと違うのね」
「そうなのね」
「そうね、怒ってお寿司が上手になるなら」
 それならというのだ。
「どんどん怒っていいけれどね」
「そういう訳でもないから」
「それでなのね」
「珠緒ちゃんも怒らなかった」
「そういうことね」
「そうだったの。お寿司には暴力は駄目」
 絶対にというのだ。
「誰だって自分がされたら嫌だしね」
「何かいいお寿司屋さん見たわ」
「珠緒ちゃんいいお寿司屋さんになれるかもね」
「いい寿司職人さんにね」
「女の子だからっていう子もいるけれど」
「これはね」
「有り難う、実際私高校を
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