ラブーン
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此方の言葉を遮り、初老の男性は勝手に名乗り始めてしまった。
アキトは気を取り直してもう一度質問する。
「……クロッカスさんですね。それで質問ですがここは鯨の胃のなかで間違いありませんか?」
「ここが海に見えるか?周りの空も全て描かれたものだ。よく見てみろ」
確かに周囲の空は全て人為的な手が加えられていることが伺える。
だが、何故鯨の胃袋に絵心が加えられているのか依然として謎である。
本当に此処は何なのだろうか。
「や、やっぱり俺達、鯨に食われちまったのか」
「い、一体どうなっちゃうの、私達……!?」
「先ずは、メリー号がこの鯨の胃液に溶かされ、次に俺達の番だろう」
「現実を叩き付けないでよ!何とかなんないの、アキト!?」
アキトの服の襟を掴み揺さぶるナミ
とても必死な様子である。
現状、手段が無いわけではない。
アキトの能力を全力で使えばこの鯨の胃袋を突き破ることは容易であろう。
ただそうしてしまえば鯨の肉塊がその場にできあがることになってしまうが
「出口ならあそこだ。あそこから出ていくがいい」
あるんかーい
アキトは突っ込まざるを得ない。
彼は此方の心配を軽い調子で吹き飛ばす。
確かに彼の言う通り向こうには出口らしき門が見える。
どうやら出口も完備されていたようだ。
彼は何の意図を持ってこの場所を作り上げたのだろうか。
「とりあえずこんなところから脱出するぞ!」
「そ、そうね!?行くわよ、皆!」
途端、大きく揺れるメリー号
「な、何だ!?」
「今度は一体何なのよ!?」
「始まったか。……この鯨が赤い土の大陸に頭をぶつけ始めたのだ」
「「「赤い土の大陸に!?」」」
そこから語られるこの鯨の長年の執念による行動
その無謀とも言えるこの鯨の試みに皆一様に言葉が出ない。
呆然とするアキト達の前でクロッカスさんはいきなり前方の島から胃液の海に飛び降りた。
「おい、あのおっさん胃液の海に飛び込んだぞ!」
「そんなことよりも早くこのなかから脱出するぞ!」
一刻も早くこの場から脱出を試みるべくメリー号を出口に向かわせる。
そしてまたしても現状に変化が訪れた。
「ああああぁぁぁ〜!落ちる〜!」
「今度は何なの!?」
出口に取り付けられている小さな扉から飛び出してきたのはルフィであった。
背後に謎の2人組を引き連れていたが
「て、ルフィじゃねーか。何してんだあいつ?」
「ん?おおゾロじゃねーか。とりあえず助けてくれ」
ルフィは重力に逆らうことなく眼下の胃液の海に落ちた。
途端、上がる3つの大きな胃しぶきが上がる。
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