四 毒媒蝶
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してはいののほうがエキスパートなので、ヒナタが体内に未だ残留する毒に対して治療する傍ら、解毒薬を調合する。
皆がカンクロウの治療に専念する中、首筋から秘かに何かがゆるり、と音も無く動いた。
治療に集中するヒナタといのは気づけなかったが、砂隠れの里の医療忍者の一人はソレを目にして眉を顰める。
それは、何らかの蛹であった。
白い壁をパキパキ…と抉じ開け、今まで見た事もないほどの艶やかな色が垣間見える。
深い青紫。ゾッとするほどの美しさ。
開け放たれた窓から飛び立つソレに、思わず眼を擦り、再度、カンクロウの首元を注視する。
首筋についていた蛹のようなモノは白い灰となって、やがてサラサラと砂の如く空気へ消えていった。
幻だったのだろうか。
連日徹夜でカンクロウの治療に手を焼いていた医療忍者は、寝不足による幻覚だったのだ、と己を納得させ、ヒナタといのの手伝いへと走った。
「解毒したか…」
己の許へ舞い戻ってきた蝶に、彼はゆるゆると眼を細めた。
カンクロウの首筋から毒を徐々に吸わせて大きく成長したソレが、ゾッとするほどの美しい輝きを放って周囲を華麗に飛ぶ。
毒が強ければ強いほど、美しく艶やかな翅の蝶へと育つ為、猛毒だったのは間違いない。
蝶の働きがあったとは言え、それを解毒したのだから、五代目火影の弟子は優秀だという事が窺える。
「――これは期待できそうだな…」
この世のモノとは思えないほどの美しき蝶を人差し指に止まらせ、影の功労者である彼は、人知れず優雅に微笑んだ。
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