四 毒媒蝶
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なるとはなんとも皮肉だった。
吹き荒れる砂嵐は砂を高く積み、埋める。吹き曝しになっているカンクロウの身体に砂が積もれば、ただでさえ見通しが悪い砂漠での発見が遅れる。そうなれば、身体を廻る毒の経過も速い。
以上からカンクロウを砂の追跡部隊に発見されやすいように施した彼は、何事も無かったかのように立ち去った。
再び吹き始めた砂嵐に、はためくフードの白がやけに目立つ。
その裏地の黒に、赤き雲の模様が垣間見えた。
砂隠れの風影が暁という組織の者に連れ去られたという情報は木ノ葉隠れの里にすぐさま通達された。
応援を要請してきた砂隠れに応じ、五代目火影の綱手に命じられて、現在、畑カカシ率いる一部隊が砂隠れの里へ向かっている。
先陣を切って走っていた波風ナルは、前方を歩く背中に、木の枝上で足を止めた。
「テマリ姉ちゃん!!」
中忍試験の打ち合わせを終え、里へ帰る途中だったテマリは、頭上の木から下りてきた集団に驚いた。
波風ナル・畑カカシそれに山中いの・日向ヒナタ。
カカシ以外は女の子で固められた部隊に、テマリの眉間に皺が自然と寄った。
だが、もたらされた衝撃的な情報に、彼女は愕然とする。
「なに!?我愛羅が!?」
風影であり、そして自分の大事な弟である我愛羅を連れ去られたと知って、テマリは唇を噛み締めた。その険しい表情を、ナルもまた、難しい顔で見つめ返す。
女性ばかりのチーム編成だが、急を要する事情故、仕方がなかった。
砂隠れの里からの急を要する知らせが届いた時、火影室にいたのが偶々彼女達だったのだ。
ナルが家を空けていた間、花の世話をしてくれていたヒナタといのにお礼を伝えている最中の、緊急な知らせだったのだ。もちろん、綱手とて何も考えていないわけではない。
何故なら、綱手の弟子は、山中いの、そして日向ヒナタの二人だからだ。
山中一族の能力故に、戦闘面は仲間に頼りがちになりやすく、攻撃術は不得手だという弱点を克服する為、いのは【桜花衝】を始めとした攻撃に特化した術を綱手から主に学んでいる。
一方のヒナタは木ノ葉最強と歌われる日向一族な為、【柔拳】を駆使した接近戦は得意。よって彼女が綱手から主に教わるのは、繊細な医療忍術である。
体内のチャクラの流れである『経絡系』をも見ることが可能で、洞察力・透視に長けた『白眼』ならば、相手を治療するのも他の忍びに比べれば遥かに容易い。
それでも生半可な知識では難しいのは当然。よって二人が努力したのは、手に取るようにわかる。
いのも花屋の娘故に、薬草や毒物に詳しいので、二人揃って綱手の弟子と名乗るに相応しい大きな
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