支配の終わり
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ーロンはやり過ぎた。
どれだけ大層な理由があろうとも、どれだけ人間への憎しみを正当化する過去があったとしても、アーロンのココヤシ村の支配を肯定する理由になどなりはしない。
人の命を奪い、弄んだ者が支払うべき対価は命だけだ。
命は命でしか償えない。
アキトはここでアーロンを生かしておくつもりなど毛頭ない。
人の命を軽々しく奪っておきながら、アーロンが今後も生きているなど虫唾が走る。
ここで確実にアーロンの息の根を止め、長きに渡る魚人によるココヤシ村の支配に終止符を打つ。
アキトの足元に微風が吹き、宙に浮き上がっていく。
満身創痍のアーロンを見下ろし、アキトは天へと昇っていった。
アーロンパークは無残にも崩壊し、既にその場に立っているのは朦朧とした意識の状態のアーロン一人のみ
魚人海賊団はアーロンを除き、全滅した。
ナミ達の避難は既に完了し、島の端から此方を見ている。
この距離ならば彼女達が被害を被ることはないだろう。
「彼は一体何をするつもりだ」
「信じられん、宙に浮いているぞ」
「アキト……」
アキトはアーロンパークを一望し、斥力の力を高めていく。
コノミ諸島の全域を一望出来る高さまで浮き上がり、アキトは宙に制止した。
両手を天へと掲げ、コノミ諸島を、アーロンパークを、アーロンを見下ろす。
その紅き瞳はどこまでも冷徹で、アーロンを鋭く射抜いている。
痛みを感じろ
痛みを考えろ
痛みを受け取れ
痛みを知れ
痛みを理解し得ない者がこれ以上彼女を苦しめるな
アーロンパーク
魚人による支配の象徴
天へと突き立つ様にそびえ立つ白亜の城はこの島に根を張っている。
この忌々しい支配の象徴をアーロン諸共、完全に破壊する。
姿も残しはしない。
風が吹き荒れ、アキトを中心に不可視の力が集束していくのを眼下のナミ達は無意識に感じ取った。
吹き荒れる風も強まり、コノミ諸島の森林を揺らす。
空を覆いつくす暗雲から一条の光がアキトを照らし出した。
アーロンはただアキトを見上げることしか出来ない。
哀れで、愚かな罪人の処罰の刻だ。
そして、ナミ達は視た。
天より降り注ぐ暴力の化身を
途端、アーロンパーク全土に暴風が吹き荒れ、景色が一変した。
不可視の衝撃波が大地を抉り、アーロンパークの残骸を一瞬にして粉微塵と化していく。
その力は天を突き破り、暗雲を吹き飛ばす。
太陽の光が降り注ぎ、コノミ諸島を神々しく照らし出す。
その光に照らされ、今なお宙に浮遊するアキトの姿を捉えることは出来ない。
その
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