支配の終わり
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
差なかった。
どのような形であれお互いに譲れないものを胸に両者は対峙した。
アキトは強く踏み込むのと同時に背後の斥力の力を爆発させ、アーロンでは認識できない速度でアーロンの懐に忍び込む。
アーロンが気づいた時には既に遅すぎた。
アキトは手の平に斥力の力を圧縮させ、速度を落とすことなく全体重をかけた掌底をアーロンの心臓部に叩き込む。
途轍もない威力の掌底だ。
尋常ではない衝撃がアーロンの体を貫通し背後に暴風が吹き荒れる。
血を大量に口から吐きながら、声にならない言葉を吐き出すアーロン
だが、想像を絶する痛みのせいで声を出すことも出来ない。
その場に踏みとどまることすら出来ずにアーロンは吹き飛ばされる。
もはやアーロンに意識はなく、力なく背後のアーロンパークに轟音を立てながら激突した。
アーロンパークはそれがとどめを差す形となりあっさりと崩れ落ちる。
その様はアーロンによる長年の支配の終わりを示しているようだった。
▽▲▽▲
周囲に湧き上がる歓声
長年のアーロンによる支配がついに終わりを迎えたのだ。
人々の魂の叫びである。
見れば嬉しさの余り互いに抱き合う者や泣き出す者までいる。
そんな中1人だけ前方のアキトを見つめる者がいた。
ナミである。
ナミはアーロンによる支配が終わったことを未だに実感出来なかった。
アーロンに子供の頃から8年という長い間縛り付けられてきた日々
どうあがいてもアーロンを倒すことは出来ず、死んでも嫌だったにも関わらずアーロン一味に加わった。
その後、アーロンの指示で海図を描き、村を解放するために8年の間死に物狂いでお金を集めてきたのだ。
そんな日々が唐突に偶然この島を通りがかったアキトの手によっていとも簡単に終わりを迎えた。
ナミはまだ現実を直視出来なかった。
「終わりましたよ、ナミ」
呆然としているナミにアキトが声をかける。
アーロンを圧倒していた時とは雰囲気が和らぎ、ナミに優し気な表情を浮かべている。
ナミはそんなアキトを見上げることしか出来ない。
「これでナミを縛り付けるものは何もありません。だからもうこれ以上ナミが苦しむ必要はないんです」
アキトはナミの不安を取り除くように優し気な表情でゆっくりと話し掛ける。
「終わったの……?本当に……?」
「ええ」
「本当に……?」
「ええ、終わったんです」
肩を震わせ静かに泣くナミを自分の胸に引き寄せ、軽く抱きしめた。
ナミはここが限界だった。
アキトの胸を力一杯抱き締め、これまで溜めこんでいたものを全て吐き
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ