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Exhaustive justice
四話
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を握りしめる。
するとブチブチ、と何かが剥がれる音と共に帝が顔を上げる。

荒く吐息を吐き出し、咳き込んで血を流すと一度零司に視線を向けてよろよろと立ち上がる。
玲央は驚愕の表情を見せながらも倒れた零司を庇うように手を広げ、威嚇するように帝を睨む

「…軍司玲央…、か」
再び咳き込むと零司を他所によろよろと反対方向へ歩いていく。

「待て」
帝は足を止めずに歩き続ける。

「待ってくれ!」
ーー
ようやく帝は視線は向けずも足を止める。
「…なんだ」

「俺は事情を知らない。だがこいつは綾野という女生徒の噂を聞いた途端、血相を変えて教室を飛び出した」

「…」

「零司の代わりに聴かせてくれ、あの女生徒はどうなったんだ?」


沈黙。帝の言葉を待つ玲央は冷や汗を流す。
「…」
ハァ、とため息を漏らしてようやく玲央の方へと向き変える

「そいつに伝えろ、…貴様の勝ちだ」

「…は?」
玲央は意味がわからないと言うように疑問符を浮かべるも帝は構わず話を続ける。

「彼女は停学だ、まだ罰も執行していなければこの学園から追放されたわけでもない」
「だが、俺は彼女を裁かない」

再び帝は向き変えり、玲央に背を向ける。
「…勘違いするなよ。ただ、罪として処理するには曖昧だった、それだけだ」

マントを翻し、よろよろと重い足取りで歩き去る

玲央はただ傍観し、帝の姿が見えなくなるまで立ち尽くすだけだった。
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