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転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
夜明けまであと少し
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られん」
『人の寿命はせいぜい70〜80年、その程度の時間じゃ確かに通信機能を最適化する程度しかデバイスは変化しないかも知れないけどさ』
「……ああそうだ、なのにどうしてこうなった」
『君、僕の話聞いてた? 君は2万年近く眠ってたんだよ? それだけ時間があったらデバイスが君の生体脳に置き換わる程度の変化は可能だと思わない?』
「2万……年……その間に脳がデバイス化した、だとぉ?」
『まぁそんな訳で色々と君は人類を飛び越えた存在となってしまった訳だ、おまけにバックアップに就く僕は不完全ながら人類滅亡から現時点までの情報を保持している、つまり……』
「……つまり?」
『情報は持ってるだけで武器になるよ? 不完全でも世界の全てを知っていると言うのは凄い事だって言うのはさ、研究者である君なら充分理解出来るはずでしょ?』
「知識のバッアップ、それも世界規模の……ああそれは、確かに……」
『おまけに僕という"眼"を持つと言う事はリアルタイムで情報も収拾可能な訳だし、現在の文化レベルが低い生命体からしてみれば、何もかもを知っている君という存在は神に等しい、いや、人という煩悩と欲望を有した存在だから魔王いう表現はあながち間違いでは無いと思うね』
「煩悩と欲望のみを切り出して強調するんじゃない、と言うかその魔王という呼称もどうなんだ」
『まぁ現在のデバイス環境じゃ、せいぜい目的地迄のルートナビやら周辺の天気予報辺りしか利用出来ません』
「む……話が壮大な物からいきなり陳腐になったな」
『この通信速度はあくまで理論値であり、ご使用する環境に拠っては変化するbest effort型となりますので、予めその辺りはご了承下さい』
「通信事業者が使う典型的な逃げ文句をここで言うか!? 本当に大丈夫なのかおいっ!?」
『それはやってみないと判らないとしか言えないなぁ、でも結局さ、見た目とか人並み外れた知識量を有してたりさ、色々とほらぁ今の君を第三者視点で表現しちゃうとさ』
「……何だ?」
『君、本当に魔王を名乗っても違和感無くなりつつあるね、プゲラ』
「くっ……貴様ぁ……」
「へっ……へうっ!?」
む? 何だ今の珍妙な声は? っていかん騒ぎ過ぎたか、ネコミミ少女が眼を覚ましてしまったでは無いか、て言うか何だろうか……妙にプルプルしていると言うか、こっちを見て怯えていると言うか……
『あ、そう言えば僕と君の会話は電波通信で行ってるでしょ? それって第三者から見れば僕達が会話してる時は君が独り言を呟いてるって言うか、ぶっちゃけ目に見えない相手にブツブツ言ってる悲しい人にしか見えないからね、そんな愉快な人に思われたくなかったらちょっと考えた方がいいと思うよ?』
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