無手勝流
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ならなかっただろう」
「へぇ、なんでそう思うの?」
彼女の見解にはきっと何か理由があるのだろうと聞いてみるツバサ。英玲奈はまず2人にこの日のスコアブックを見せる。
「2回以降の打球方向、ほとんどセンターよりもライト側だ。唯一三塁側に転がったのは南さんのセーフティのみ。しかもそれもピッチャーに取らせている」
そこまで言われれば実力者である2人が彼女の言いたいことに気が付かないわけがない。他のUTXのメンバーにわかっていないものもいたが、英玲奈は彼女たちにわかるように説明する。
「一塁側に転がったらピッチャーはベースカバーに走らなきゃならない。しかも3回の得点になったのはあのピッチャーだ。徹底的に走らせスタミナを奪って崩れ始めたところを一気に仕留める。まるで強豪校の戦い方だ」
チーム全員で同じ狙いを持って攻撃を行い相手を崩す。その統一感はまさしく強豪校のそれと遜色なかった。
「私たちはあんな戦い方をしたことないからな」
「何?英玲奈はあの子たちが私たちよりも上だと言いたいの?」
「いや、そういうことじゃなくて・・・」
「違うわツバサ、私たちにはそんな攻め方は不要だって言いたいのよ」
実力的に劣っている音ノ木坂学院だからこそチーム全体で統一感を持って相手を崩す戦い方が有効。しかし、全員が高いポテンシャルを誇るUTX学園にそのスタイルは合わない。通常通り戦った方が力を発揮できるのだから。
「ボール!!フォア!!」
ところ変わって試合の行われているグラウンド。そこではまたしても音ノ木坂学院にチャンスが訪れている。
「1アウト満塁!!」
「花陽ちゃん!!ファイトだよ!!」
ヒット、四球、四球で塁上は全て埋まっている。この場面で打席に立つのは8番の花陽。
(さて、どうしたものか・・・)
全ての塁が埋まっていることでホームはタッチの必要がない。そのためスクイズを行うとアウトになる確率がいつもより増している。
(それに相手は変わったばかりで荒れている。ここは1球待たせよう)
待てのサインを送り打席で構える。初球、これ以上の失点はしたくないバッテリーはスクイズを警戒して外した。
(まるで未熟だな。この場面は打たれてもいいからストライクを取りに行かないと。厳しいコースさえ攻めていれば、例えスクイズでも失敗されることもできるのだから)
自分と比較するのは酷な話だが、どうしてもそう思わずにはいられない。続く2球目は外角へのストリート。際どかったものの審判にボールと判定され2ボール。
(ここはセーフティスクイズにしておくか。ストライクなら確実に転がせよ)
どんなボールでも当てにいく本来のスクイズではなくス
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