暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第49話 キミに呼びかける 前編(vs 塔矢アキラ)
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京なの?」 一柳が緒方に声をかける。

「ええ。カレの近くにいると逆に落ち着かないらしいので」 緒方が答える。

「初々しい発言だねー。ホントに彼氏なの?」

「さあ? そこまでは知りませんが、桐嶋堂のカレとはプロになる前からの付き合いですよ」

「フーン。ま、あんまり詮索するのも野暮ってことか」

「あ、塔矢君が大ゲイマに受けました」

「大ゲイマ? それだと和-Ai-は……」「間違いなく三々に飛び込んでくるね」

「広く受ければ三々に入りやすいことは塔矢君だって分かってたはず」

「となると、これは誘ったものだろう」「黒の工夫ですか」

「アキラ君も桐嶋研に来てるだけあってよく研究しているねェ」

「ここまでは定石通りですが、一見これで黒も好形に見える」

「この白のハネは塔矢先生が推奨していた手法だ」

「素早く利かして黒を凝り形にしている」

「和-Ai-が塔矢さんの手を息子に? いやぁ、おもしろいねー」

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同日 聖天山歓喜院 対局場 side-Akira

 先ほどの右辺のハネ、ここからの右上の決め方も父の打ち方、塔矢行洋流だ。
 和-Ai-は形を決めてしまう打ち方を好む。
 必要なく可能性を狭める様な利かしを打ってしまう傾向がある。

 かつて「決め打ち」と言えば父である塔矢行洋名誉名人の代名詞だった。
 まだ決める必要が無いと思える利かしでも、どんどん決めてしまう。そして勝つ。

 ボクは幼いころから父の碁から多くのこと学んできた。

 “いま”ボクが碁を打つのは――――

 この碁はタイトル戦と同じような多くの人に見られる碁だ。

 和-Ai-との対局を望む彼女も、この碁をきっと何処かで見ている。

 だからこそ無様な姿を見せるわけにはいかない!!

 10代で名人になって、いつかは父を超える。

 そしてキミを振り向かせてみせる!

 今度こそ「ボクと打とう!」の言葉に「打たぬ!」ではない返事をさせてみせる。

 選択を狭め想定しやす手順で進めることを好むなら――それを利用する。

 この手順は地を堅めてしまう割に白の形はあまりよくない。
 ボクは個人的に早い時期には打ちにくいと感じる。

 白は惜しまず利してからヒラキ。右辺の模様化を防いだ。
 黒は白が手抜きしていた左上に手を入れる。これは大ナダレ定石になりやすい。

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同日 現地関係者検討室

「いま和-Ai-が採用している新手法のうち、塔矢先生が推奨していたものは多い」

「そこには塔矢先生の碁の強さ、凡人には見えないものが見えていたのだろ
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