暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第38話 それぞれの想い
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った要素が勝敗を分けることを知っている。
 完璧を目指しながらも、不完全さを楽しむ。それが囲碁なんじゃないかと――私は思ってる。

 私はテレビ対局で敗けて天元位を逃して気落ちしてことも吹っ切ることができた。

 女流棋戦で出会った香川いろはちゃんを通じて同じ学園に通う東堂シオンちゃんに和-Ai-のノートパソコンを見てもらうことができた――

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case 4 「塔矢アキラ」

 普段は夜中に起きることなんてあんまりないのに……あの日はふと目が覚めてお水を飲もうと思い寝室を出た。

 お父さんの部屋から明かりがもれていたので遅くまで碁の勉強かなと思い中を覗き見た。

 第一手を打ったまま、じっと考えているようにもみえたけど……棋譜並べとは違った。

 白石の碁笥が対面に置かれていた。棋譜並べなら黒も白も手元にあるはずだ。

 あのとき、お父さんは……いったい誰の一手を待っていたのだろう?

 お父さんとお母さんはリーグ戦が行われる中国の深センへと出発した。その後は北京にも足を運ぶという。

 多くの弟子が寝泊まりしていた時期もあった広い家に一人っきりになるといつも以上に静けさを感じる。

――もし春蘭杯にでれなくとも春蘭杯に出てくる者とはいずれ戦うことになるさ

――必ずどこかで

 お父さんと同じように盤上に第一手を打ったまま、相手の手を待ちながら先日の囲碁サロンでのやり取りを思い出す。

「彼女のいう“囲碁もいっきょく(一局)、歌もいっきょく(一曲)”って――」

「どちらも同じ、勝つか負けるかの真剣勝負という意味では?」

 昨年に衛星放送と契約し今まで見なかったテレビを見るようになったという岸本さんが彼女について語るので思わず口を挟む。

「それももちろんあるけど、囲碁の一局も、歌の一曲も誰かに見てもらっている意味もあるのかなって?」

「たしかにプロのタイトル戦などは大勢の他人に見られる碁ですね」

「いやいや、そういう意味でもなくて……。そうそう彼女の碁は伝えたい誰かがいるのかな?って――」

「どういう意味ですか?」

「うーん。例えば自分のライバルを待っているとか?」「ライバル……ですか?」

「彼女は以後10年は私に敵うものは現れないって言って囲碁の世界から一度は身を引いたらしいけど――」

 その言葉を聞いて僕の中で「打たぬ!」と断られた苦い思い出が蘇る。

「けど、それって逆に言えば……いつかは戦う相手が現れるってことでしょ?」

「その証拠に彼女は一人で碁を続けていたし、和-Ai-が現れて舞台に戻って来た」「……そうですね」

「アキラくんもライバルに、この舞台まで来いって気
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