第3章 儚想のエレジー 2024/10
19話 足取りは重く
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ているからに他ならない。
だからこそ、人殺しに成り果てた俺に変わらず接し続けられるヒヨリに危いものを感じずにいられないのもまた事実であるのだが、どうあってもあの幼馴染は俺から離れようとはしないだろう。ティルネルの言わんとする希望はつまり、俺のスタンスの是正。どうやらAIから見ても俺は日陰に潜り過ぎていたらしい。
「まったく、本当にお前は………」
NPCなのか。と続く筈だった言葉を飲み込む。
もう一月も経てば二年間は共に過ごした仲間に対しては、すこし他人行儀というか冷たい言葉選びになりそうだから曖昧に取り下げ、ままならない感情に耐えかねて無意識に頭を掻く。自分でも理解していたが、目を背けていたヒヨリとの接し方。それを口頭で指摘されるというのはやはり堪えられない過負荷を感じるが、どのみちこのままというわけにもいくまい。
「……………わかった。腹を括ろう」
一先ず、有耶無耶に途切れた言葉を誤魔化し、溜息を零す。ただの薬草探しならばと気を許したばかりにという恨み節もないわけではないが、身から出た錆ならばティルネルに訴えるわけにもいかなかった。
――――こうして、化膿した傷口のような安寧は呆気なく幕を下ろしたのだった。
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