暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第35話 最強初段 vs 最強女流 後編
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ち込みの後は、厚い手、自然な手が続いていると思う。

 ……突然中央が黒地っぽくなってきた。

 ボクなら右辺の白は3線を這って守るのではなく高く打つのだったと後悔しそうだ。

 このタイミングで黒が上辺のスソを守る。白からここに打つチャンスはなかった。
 白は上辺はもう入れないと見て利かす。白の花見コウだが、一応黒も抜き返す。

 黒は右辺を受けないで軽く見る。

 どこかでボクが敗れたsaiを軽くみるような在り方を感じる打ち回し。

 進藤の白石がボクの気持ちを代弁するように反発し右辺を膨らませながら中央を消す。
 黒は上辺をヨセながら左下の白一団を狙っている。奈瀬女流は盤上からじっと目を離さない。

 白の進藤はツラい受けだ。黒の地合い有利がハッキリしてきた。

 またダメを打たされた。白がボロボロに損をしてる。進藤!!

●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇

case 6 「和谷義高」

 オレは越智に敗れた。中盤までは良かったのに……オレがリードしてたのに調子に乗りすぎた!
 プロの世界での一年の差。手合いの経験の差が出た。

 優勢な碁と勝ち切る碁は別物だと教えられた。ちくしょうっ。

 たぶん進藤も同じ思いだろう。序盤は明らかに優勢。
 けど奈瀬には何一つ焦りなんてなかったはずだ。

 序盤の優勢なんか中盤と終盤でいくらでもひっくり返る。隙が無い。
 石たちが躍動する奈瀬の碁に倉田七段も魅入っている。

 黒が打ったのは気持ちのよい仕上げの手だ。安全かつ分かり易い。
 白を囲わせ、自分もキレイに囲った。盤面では15目くらい黒がよさそうだ。
 もはや作る差ではない無いので白は投げ場を求めた。
 黒の奈瀬はしっかりとトドメを刺す。下辺の白が死んだ。

 進藤は逆転の望みをかけて隅の眼を狙うが、奈瀬は隅を相手にせず中央の囲いを補強する。事実上の試合終了宣言だ。

 ノータイムで打たれたので、死活が読めていたかどうかは少し気になるところだ。

 進藤が投了を告げる。

 進藤が下を向いてる。アイツの気持ちが伝わってくる。
 手合いをサボった訳は詳しく聞いてないが、2カ月間は碁に一切触れていなかったという。
 復帰してからは好調だが、いずれにせよ進藤は足を止めた時期があった。

 奈瀬も天元戦で負けた後は明らかにヤバいくらい気落ちしてた時期があった。
 けど何かに縋るように何かを手放さないように碁を続けていた。
 走れなくなっても足を引きずってでも意地でも歩みを止めなかった。
 二人がプロになったのは同期だが昨年の春の2カ月の差が盤上でも明らかになった。

 段位、実績、評価、地力、執念、様々な差が二人の間に立ちふさがる。


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