暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第20話 天元を目指す碁 後編(倉田厚七段 vs 奈瀬明日美)
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負の世界。

 この世界の自由は、強い人だけが手に入れることができる。

 上手くなりたいじゃ駄目なんだ。わたしも強くなりたい。

 わたしも彼が心から信じる桐嶋和さんが戦ってるような輝ける舞台に――。

 はやくそこへ、もっとちかくに、盤上の中心に輝く一つ星―天元の位に。

―――――わたしはもっと自由になりたい!

 私が打ってるのに私が打ってないような不思議な感覚があった。

●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇●〇

side-Atusi

 くっ!何とか持ちこたえろ!折れるなオレ!

 彼女の碁に、のみこまれそうになるのを必死に抑える。

 どこかで弛むときがくる。あきらめるな!しがみつけ!

 中央の黒は完全に左辺に繋がている。しかも地が着いてる。
 右辺の白模様は制限できてるし、白の薄みが残ってるいる。地合いも黒リードだ。

 鮮やかな手品を見ているようだった。

 中央付近に打たれた黒の手が全てを睨む。
 中央の3子取り、上辺の2子取りも残る。圧倒的な黒のペース。

 ここから先はほぼ決まった手順。
 結構白地もあって細かいかもしれないがプロレベルではもう無理だと判断できる。

 時間はある。けど、最後まで読み切ってしまった。もう逆転はない――。


 投了を告げる。

 165手まで黒の中押勝ち。倉田七段が敗れ奈瀬二段が天元戦の決勝へと進む。


 同日、全日本早碁オープン戦の準決勝でアマチュアの東堂シオンが座間王座を破ったことがニュースで大きく報じられた。
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