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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第19話 天元を目指す碁 前編(倉田厚七段 vs 奈瀬明日美)
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られちゃった。先生、これは釣り合ってるんですか?

 頭を働かせる盤上全体を読み切れ。読み切れ。読み切れ。

 あ、まだ手があるんだ。なるほど。隅生きと中央脱出の見合いですね。

 はあ、上手いもんですね。白は1子取るしか無いですね。
 黒は先手で白地を制限してます。それで先手を取って先生ならどこに手を出しますか?

 えっ?1子抜きですか!なぜ今?
 下辺もう1手とか、左辺黒勢力の拡大とか、もっと大きいところがあるでしょう。

 白石が天元の隣に置かれる。うわあ右辺の白模様が立体的になってきた。
 盤上は平面、しかし広がる宇宙は立体の空間。

 白と黒の天元(盤面の中央)をめぐる戦いが続く……。
 中央の押し合いは途中で2目の頭も残っているけど、戦いの流れみたいなものを無視して先生の声に従って下辺というか右下に手をつける。

 あっ、先生お得意のカタツキを相手に打たれちゃいましたよ。フフフ。

 倉田七段は私の碁や和-Ai-の碁をしっかりと研究してる人だ。嬉しい。先生の碁が広がっている。

「わたし、負けませんから。」

 静かに思いを口にする。決意を声に出す。相手が誰だろうと私は勝って天元を目指す。

 いまのわたしには勝利を報告できる相手がいる。

 私は自分のことを囲碁くらいしかできない女の子だと思ってた。

 けど貴方に出会って私は恋ができるって知った。それが心地よい。

 自分の気持ちに正直、自分の心を抑えずに、私のあるがままの手を打つ!

 左辺に一つ押してからスベリ。普通の手だけど――。
 へえ、ここで中央に戻るんだ。3目の頭、両方ハネられちゃいそうだけど?

 あー、先生、中央の黒、なんかめちゃマズイですよ、これ。

 ほら、中央の黒、なんかもがいてません?もがいて生きると大抵負けますよ!

『あら? 見えてる物が違うようね』

 うわ、キッつ。白の倉田さん本気だ。黒は苦しいでしょう、これは――。

『ほら落ち着いて慌てることなど何もないのよ』

 そうだ。落ち着こう。落ち着けわたし。なんか対局中にヘンなこと口走ってないかな?
 あー。少し恥ずかしくなってきた。だめだめだめ。深呼吸してー。ここは勝負所。

 気が付けば盤が狭い。あれ?先生の声が聞こえない。
 まだ盤上は埋まってないのに打つ場所が―見つからない。


 可能性が見つからない――――



 ……やっぱり、一か八かの大勝負で先生の声に従って打ったけど、倉田七段相手に無謀だったのかな?

 大人しく堅実に地にからく打った方が戦えたのかな?

 駄目かもしれない。そんなとき彼の声が聞こえた気がした。

 私が初めて好きになった人の声。

 彼が言ってた
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