巻ノ百三 霧を極めその十
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「そう思っておる」
「では命を無駄にせず」
「そのうえで、ですな」
「これからも生きていかれる」
「そうされますか」
「是非な」
こう十勇士達に答えた。
「そう思っておる」
「ではです」
「命を大事にしていきましょう」
「何かとありますが」
「それでも」
「そうじゃな」
幸村は微笑み家臣達に応えた。
「生きなくてはな」
「はい、それでは」
「大助様のご成長も見守りましょう」
「中々楽しみがない山なのは事実ですが」
「それは楽しみですな」
「うむ、楽しみな」
そしてというのだった、幸村も。
「育てていこう」
「我が子を育てるのもまた人の楽しみですな」
「親となることも」
「そうなのですな」
「そうじゃな、真田家は昔から親子の絆が強かった」
そうした家だというのだ。
「親子でよく話をして育ててな」
「そうしているからこそですな」
「親子の絆も強い」
「そうした家ですな」
「小さい家じゃしな」
大名の家といってもだ、真田家はやはり小さいのだ。十万石といってもその石高よりも家は小さいのだ。
「だからな」
「小さい分互いに顔を見合わせ」
「そして帆突になり戦ってきた」
「だからですな」
「真田家は絆が強く深い」
「そうした家ですな」
「そうじゃ、だからな」
大助もというのだ。
「大事に育てていってじゃ」
「よき方になってもらいますか」
「武士として人として」
「そうなってもらいますか」
「是非な」
こう話してだ、幸村は大助も育てていった。幸いにして健康に恵まれている大助はすくすくと育ちそれも幸村の喜びになっていた。
巻ノ百三 完
2017・4・16
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