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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第06話 桐嶋研
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たが、Aiの手法を研究した一柳先生が定石ではヒラくところを省く手法を名人リーグで披露して広まった。

 Aiが多用する三々入りもプロ間で少しずつ知られており、特に中国の若手棋士がAiの手法を柔軟に取り入れ公式戦で意欲的に新手を試している。
 また碁の基本に反していると嫌う人もいるがAiの影響で手抜きを試みるプロも増えている。

 いずれも少し前までは信じられない打ち方だ。

「白の終盤は少し硬めのヨセになっていると感じますね」

 私が考え込んでる間に検討が進んでいた。

「いやぁ。やっぱりさ。
 この対局は何と言っても布石での上辺の大サバキをどう評価し解読するか――。
 それが僕らの今後の課題だろうねェ」

「この白のツケ自体は昔から打たれている手ではありますよね?」

「ああ。確か本因坊道策の棋譜にも似たような手があった」

「僕は独創的なロマン派の棋士が打つ手っていうイメージがありますね」

「こういった手は飛躍しているだけにリスクがある上、何よりその正しさが解りにくい」

「Aiにしても良さの確信は無くって、最高を追い求めた挑戦の意味で打たれている面もあったかもしれないよ?」

「働きが最高に良い手と無理手は紙一重ですからね」

「Aiの新手はさ、しっかり研究して利点を理解している人が打つのは良いけど……。
 よく解りもせずムードだけで真似するなら大怪我するだろうね。おー、こわいこわい」

「それでもネット碁とはいえプロにさえ勝つ無敗の棋士が打つ手は誰しも真似したくなりますよ」

「まあ勝ってる手というのは良い手である可能性が高いからねぇ」

「公式戦でこんなツケを打って上手く行けばサイコーの気分でしょうね。
 僕だってチャンスがあれば試してみたけど、そう簡単に使いこなせはしないだろうなー」

 最近ではAiの碁の影響により中央と勢力の価値が見直されて徐々に理解度が高まっている。
 地という実利ではなくスピードと勢力を重視した布石が盛んに研究されるようになった。

「いやー。それにしても引退した塔矢さんにAiが挑戦状ねェ。羨ましいったらありゃしない」

「その件については塔矢先生も周囲に騒がれることは望んでないので、あくまでこの研究会だけの内輪なお知らせということでお願いします。」

 たぶん無駄だと思う。だってお喋り好きの一柳先生のことだから。
 ここだけの話と言ってきっと言いふらしてしまうだろう。
 大っぴらにしなくたって噂は囲碁界に広まると思う。

 引退したばかりの元四冠の塔矢先生に現役棋士に影響を与えてる正体不明のネット棋士Aiの対局。

 誰だって関心を持つと思う。私はお金払ってでも観たいよ!

「緒方くんもさ、上手いこと絡んだよね。

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