第六章 Perfect Breaker
薄緑の流れ星
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ーを圧倒しながらも、今だ包囲網を抜けられないコールは、頭上にその気配を感じて見上げる。
満月だ。
そしてその中心に、翼を広げた人間が。
月光を受け、その薄緑の翼は瞬きに美しさを携え―――――
ズドドドドドッッ!!
「はぇえ!?」
コールを中心に、円柱状にバリアを張らせた。
地面から生えるように生まれたそれはコールの逃走経路の全てを断ち、自身は開いた真上から飛び降りていく。
「だがまだいけるだろ!!」
コールはそれに対し、今だ打算を持っていた。
左右の壁を交互に蹴って上がって行き、理樹をすれ違いざまに切り抜ける気だ。
そのまま逃走、勝利、という考えらしい。
だが
理樹はコールを素通りさせた。
特に止めるわけでもなく、攻撃するわけでもなく、そこを通したのだ。
おかしいと思いながらもコールは円柱の中から出て、地面に足を付ける。
そこから一気に駆け出し、占領した「EARTH」ビルへと帰還するのだ。
しかし、おかしいではないか。
着地するまでの自由落下の時間
そして、足に力を込めて加速するまでの時間
その間にでもいくらでも妨害の手はあっただろうに
他の四人は、一切手を出してきていない。
否
「逃げるぞ〜・・・っとうぶ!?」
コールが、眼前の壁にぶつかる。
薄緑のドーム。
円柱を中心に、円形に壁が張られている。
そしてその内側から更にもう一枚、地面から出現してドームを作る。
コールは巻き込まれぬよう下がるが、更に内側からもう一枚、さらに一枚、さらに一枚とドームはその大きさを縮めながらも次々に作られていく。
反対側に行こうとも
地面を掘ろうとも
真上に飛び上がろうとも
無数の打撃で砕こうとも
その壁が崩れることはなく、次第に追い詰められていくコール。
四人は手を出さなかった、のではない。
出しようがなかったのだ。この状況では。
だが、コールは行き場をなくして負けるのではない。
「うお!?」
再び行動しようとしたコールの腕が、ガクンと止められる。
バリアを使った拘束。
それを高速振動で破壊しようとするコールだが、振動するだけの隙間すら許さない。
本来ならば身体に食い込み、最悪だと鬱血する可能性すらあるほどだ。
しかし、理樹は信じる。
相手のことを信じるのは、彼にはまだ無理だ。
だが、自分にはできると。自分をそう信じてくれる仲間が、大切な人がいる。
それだけあれば
「十分ッ!!!」
逃れようと腕を引っ張るコールだが、今度は左手が拘束され
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