第六章 Perfect Breaker
月下の疾走者
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ほした?兄貴」
半分口に含んだまま、そして飲みこみながら聞く影山。
一方矢車は何かの勘に引っ掛かったのか、箸を止めて目元だけを上げる。
だが、勘違いだったのかまた視線をラーメンに移して口に運んだ。
「フッ!!」
そして、箸を壁に投げた。
どういう投げ方をしたのか、それは壁にスコンッ!と突き刺さり、スープを二滴ほど壁に伝わせた。
いきなりの行動にどうしたのかと慌てる観鈴。
一方、ここにきてようやく感じたのか、影山も顔を上げて周囲を見渡す。
そして矢車は小さなインカムを取り出して、蒔風に連絡を取った。
「兄貴・・・・誰かいるぞ」
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「僕が、大丈夫?」
鈴の返答に、解らなくなる理樹。
もともと言葉足らずな彼女であるので、そう言うことは特に珍しくないのだが。
「僕は怖いよ。だって」
「相手が死ぬなんてことないだろ」
「そんなこと・・・・」
そんなことはない。
鈴は、それほど本格的な戦場に踏み込んだことがない。
だからこそ言える言葉なのだろうが、その言葉にはそれを踏まえても、いやに自信があった。
「だって理樹の力は守る力だろ?」
「・・・ああ」
そこで、妙に納得した。
彼女は、理樹のことであると納得しながら、その力をどう使っているのかを理解してないのかもしれない。
どうしてバリアを張る理樹の力が、攻撃に使われるのか、と。
だが、そんなことはない。
鈴は今までだって理樹の戦いは見てきたのだ。知らないはずはない。
しかし、理樹は解らない中での自分の回答に、疑問を持たなかった。
「いい?僕の能力は確かにバリアだけど、そのバリアを・・・・」
「うっさいバカにすんな!それくらい知っとるわ!!」
スパーン!と、真上に伸ばされた鈴の左手が理樹の顔面に落ちてきた。
重力に身を任せて降ろされたそれはベチン、と理樹の顔面を打つ。
「いたた・・・・」
「いいか理樹。私が言いたいのはな、そーいうことじゃない」
「う〜ん、と?」
さっきも言ったが、彼女は言葉足らずなところがある。
理樹は一瞬、考え込んでしまった。
考えようとして空を見上げると、大きな蝙蝠が飛んで行った。
恐らく、ナイトに変身した蓮が見回りをしているのだろう。
考えが逸れながらも、思考する理樹。
その理樹に、鈴がさらにわかるように説明しようとして
「お前は、相手を考えてないのか」
「え?」
余計に分からなくなった。
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