第六章 Perfect Breaker
月下の疾走者
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ジが何枚かずつ無いらしく、蒔風が余っている資料を配る。
それぞれ持ってい行くと、資料一つ分丸々がきれいになくなってしまった。
「・・・・・」
その光景に、蒔風が腑に落ちない顔をするも、机の上の自分の資料に手を伸ばす。
しかし、それを隣に座っていたショウが取って行ってしまう。
「え」
「え?これ俺のだぞ?」
「・・・・・はい?」
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「理樹」
「あ・・・鈴」
「EARTH」(仮)の屋上で理樹が横になって空を見ていると、そこに鈴がやってきた。
起き上がろうとする理樹だが、鈴が先に、隣に寝そべってしまった。
しょうがないので、一緒に空を見上げる二人。
鈴が何かを持ってきていたようだったが、今はぼんやりと空を見上げたままだ。
空には星の瞬きなど一つもない。
本来、ここは都市部なのでその光に隠れるのだが、今日はこの曇天が理由だ。
雲の向こうにある、月の黄色い光がボンヤリと見え、朧げにその位置を示す程度しかない空。
それを、ただなんとなしに見上げる二人。
「楽しいのか?」
唐突に鈴が聞いてくる。
それが本題でないことははっきりと分かったが、話を逸らしてくるという感じではない。
聞けるなら聴いておこう、と言った感じの質問だろうか。
それに、理樹は答える。
「え・・・・いや、ただこうやってボーっとしていただけ」
意図せず、思った以上に気怠い声が出てきた。
自分ではもう少し元気はあると思っていたのだが。
「皆、下で話してるぞ?理樹はいかないのか」
「いや・・・・僕は」
ここまで声が出て、どう言ったらいいのかわからなくなった。
“僕は相手に全力が出せないから戦えないよ”
本音はそうだ。
だがそれを言うほど、理樹は落ちぶれたくなかった。
口にしたら、それを認めてしまう。
でも、それを胸にとどめれば留めるほど、自分の中で渦巻いていく。
吐き出せば現実に、留めれば煮込まれて。
自分は戦うべきなのだろうが、気づいた以上戦えなくなってしまった。
「鈴」
「なんだ」
「もし・・・だよ?僕らと同じ人間が敵で、鈴はそれを一発で倒すだけの力があって」
「うん」
「でもその力は相手を殺してしまうかもしれないくらい強いんだ」
理樹は聞く。
あまりにも情けないと、自分でも思う。
でも、鈴にだったら、なんでも聞ける気がしたのだ。
「もしそうだとして、さ。鈴はどうする?」
答えを求め
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