第六章 Perfect Breaker
動き出す夜
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。
曰く「魔術で同じことをしたらコストが何倍もかかる。無駄なことなどしていられるか」だそうだ。
そう、おかしいと言えばほかにも
「封印指定の魔術師って、一世代限りですよね?なんでセルトマン一族はそれが適用されないんです?」
「知るかと言っている」
セルトマン一族は、そうであるだけで封印指定のリストに載る。
本来ならば「一世代限り」で「学問での習得は不可能」とされるものに対しての封印指定だ。一族に、と言うのはおかしい。
だがそれにも興味はないのか、男は葉巻を曇らせてしっしっ、と一刀を追い出そうとする。
「私は忙しいんだ。冬木の方には手を出さないように言っておいてやるから、そっちは勝手にやっていろ」
「はぁ・・・・じゃあそのようにしますよ」
何とも、この男は日本人が嫌いなようだ。
嫌悪しているほどではないが、気に入らないのだろうか。
その割には、上着の隙間から見える下のシャツに日本語が書かれている気がする。
ともあれ、確証は取った。
お辞儀をして、一刀が部屋を出ようと席を立つ。
すると、部屋の床が一瞬で消えて二人は落ちた。
実際には足元に転移魔術が敷かれ、二人一緒に別の場所に送られたのだが。
「うお?」
「なんだこれは・・・ファック。またどこかの輩か」
「どういう・・・・」
落ちた先は、黒い部屋だ。
黒い、と言ったのは別に暗いわけではないからだ。
結構な広さがあるようで、奥までは見えないがそれなりに先までは見通せる明るさがある。
その奥から、得体のしれない唸り声が聞こえてきた。
「どういうこと!?」
「大方、冬木の聖杯を狙っている奴の妨害だろうよ。あわよくば、私を消せばここの椅子が空いて自分が座れると思っているのだろう」
「なんでそんな呑気なんですか・・・・」
「呑気だと?ファック!!いったい誰のせいで巻き込まれていると思っている。責任転嫁か、これだからやっぱり日本は嫌いだ」
「てかヒタヒタというか、ドスドスというか、って感じの足音が聞こえてきたんですが?」
「おい、早く始末するんだ」
「なんで俺だけ!?あんたも魔術師でしょ!?」
「こっちの気持ちも知らないで好き放題言うなお前!そっちが運んできたトラブルみたいなもんなんだ、お前がやれ」
「まさかあんた・・・・魔術苦手?」
「黙れ!くそ、このファッキン野郎が・・・・」
ブツブツと文句を言いながら、口元にバンダナのような布を巻きつけて覆う男。
一刀が振り返ると、そこには九つ首の化け物がいた。
しかも心なしか、喉がピリピリしてきた気が――――
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