第六章 Perfect Breaker
魔術師の起動
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「やめてください!!」
「む?」
魔法陣を描く、セルトマン。
その眼前に、観鈴が翼をはためかせて降り立った。
開いた翼の内には、空気の渦がいくつも回転していた。
恐らく、あれは発射口だ。
もしも何かあれば、あそこから衝撃波の弾丸が飛び出し、セルトマンの身体に突き刺さるのだろう。
だがその中でなお、セルトマンは楽しそうな顔で陣を描く。
それはまるで、映画の次のシーンを楽しみにしている少年のようでもある。
「これはなかなか楽しいことになるんだぞ?観鈴さん」
「でも、大変なことになるんでしょ?」
「まあな」
「じゃあダメだよ」
自らの意思をはっきりと告げる観鈴。
翼の内の発射口が、更に細く絞られる。
「最初こそは自らの生を嘆き、生きることを楽しめなかった君が、ここまで強く自分の意思を示し、友と共に生きられたことは素晴らしいと思う」
「・・・・?」
「だが、それは違うんだ。君は、本来ならばもっと儚く、美しく、そして輝きに満ちた終わりを迎えるはずだった」
「なにを・・・・・」
「だから私が言いたいのはね?ここで醜い肉塊となって悲惨な死に方をするのはかわいそうだと言っているんだ」
観鈴の脳裏に、激痛が走った。
眼の裏が焼けるように痛む。
その激痛は脳に直接針をさしこまれたかのような感覚をもたらし、神経を通じて全身へとそれを伝えた。
歪む世界。揺れる地面。
まるで水中で目を開けたかのような視界に、観鈴は転げまわってしまいそうになった。
それでも観鈴は、セルトマンの方へと向き直る。
セルトマンは特に何もしていない。
ただ、彼の瞳と目が合った瞬間にその瞳がさらに光ったように見えた。
その光は、モザイクをかけたかのような光。鈍く光り、それでいて不快だと感じさせるには十分すぎた。
視界も定まらない中、観鈴は溜めていた弾丸をすべてセルトマンに発射した。
だがそれはまるで当たらない。
二、三発は当たる方向だったが、それも簡単な移動で除けられてしまう。
このままでは脳が割れる。
否、脳が頭蓋骨から飛び出そうとしてしまう、と言う感覚が近い。
セルトマンも、恐らく観鈴がそのような状態であることを知っていて、さらに力を込めていた。
その時、地面がら刃が現れた。
地面から突き出したそれは、一つだけではなかった。
様々な武器が地面から突きだし、魔法陣をめちゃくちゃに崩したのだ。
その場から大きく跳び退いて回避するセルトマンだが、表情に焦りはない。
術
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