第六章 Perfect Breaker
魔術師の起動
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。
そして、右腕を上げる。
そこに土惺によって組み上げられた竜が誕生する。
押しつぶすことに特化した土惺の力を、竜として組み上げて追尾させる土惺竜。
蒔風の右手が、まるで顎を表すかのように開く。
それと連動して、同じく土惺竜の顎が開いた。
腕の筋肉の胎動と共に、竜の身体にも力が満たされていき、それは一気に突き出された右腕と共に放たれたのだ。
「無駄だっての・・・・」
「土惺竜ッッッ!!!」
凄まじい地面を引きする音と、どのように鳴らしているのか、竜の咆哮が周囲の大気を振動させていく。
この光景のみを見た者は、恐らくこう口をそろえて言うのだろう。
『大地が我々を飲みこんだ』
飲みこまれる者は、ただ一人。
いかなる状況からも再生をし、帰還すると言う不死に近い男。
「ガボッ・・・がはははは!!だっから・・・無駄だって言ってんだろ・・・・」
しかし、そのような状況に置いて加々宮は一切の抵抗をしなかった。
嘲りの言葉は轟音轟く奔流の中に飲まれて消えたが、それがなくとも物理的に圧倒的な地面によって口がふさがれていただろう。
その中で、なおも嗤う加々宮。
(いくら押しつぶしたって無駄なんだっての!!どんなにぐちゃぐちゃにしても、細切れにしても、俺の任意の部分から再生は始まる!!)
例えばの話、胴体が串刺しになって何処かに縫いとめられても、この男は指先を切り落とせさえすればそちらを本体として再生することができる。
その瞬間、切り落とされた指先から再生をはじめ、縫いとめられた本体は塵となって霧散するのだ。
体液からは不可能であるこの方法だが、肉片一つでもあればそれでいい。
そして仮に全身を(焼かれるなどをして)失っても、今度は最後に認識した場所への移動再生が可能だ。
それらを経験したうえで、加々宮は己の勝利を確信していた。
「俺の――――勝ちだ!!」
だから抵抗はしない。
これを受け、なおも打倒してこそ、この男を倒したと言える。
それは間違っていない。
加々宮は蒔風の持つどの力でも、消滅させることは出来ないだろう。
どれだけ斬っても、焼いても、雷を走らせても、水や土や、重力でつぶそうとも無駄だ。
蒔風の額を、汗が一滴流れる。
思った以上に負荷が強いのか、左手で右腕を握り崩れないように踏ん張っていた。
恐らく、この男はこの力を打倒するだけの力を持っているのだろう。
それはもはや信じたくはないが事実だ。
蒔風の土惺が、加々宮の全身を塗りつぶしていく。
この勝負は、これで決する。
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