第六章 Perfect Breaker
魔術師の起動
[5/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、即座に左手の拳で腰の部分を殴りつけ、それを粉々に砕いたのちに残った右腕の拘束も砕いた。
そして右手首をさすり、驚嘆の声を上げて理樹を再評価する。
「硬いだけでなく万能。なるほど、確かに厄介だ」
もしもあのまま左腕が拘束されていれば、アライアはそのまま両脚まで拘束され、一切に身動きが取れないまま勝負は決まっていただろう。
いくらアライアが硬くとも、力の入らない状態で拘束されては一気に割ることは不可能。
ゴリゴリと少しずつ削っても、その場で修復されてしまうのがオチだからだ。
「だが今の手は知った。もう取らせん」
理樹は焦っていた。
もしも、今のを本気で出来ていたら勝っていたかもしれない。
他の戦闘は目に入ってこないが、もし自分が皆の足を引っ張っているとしたら・・・・・
(それだけは・・・・!!!)
直枝理樹の額に、冷や汗が流れる。
「EARTH」所属の翼人のうち、もっとも普通だった少年で、もっとも若い彼は
今、最大の敵と直面していた。
それは、決して目の前の男だけではない。
------------------------------------------------------------
蒔風の周囲を、土惺の力で浮き上がった地表が渦巻いている。
まるで水か何かのように流動する土塊は、鰐のように顎を開き、蛇のようにのたうっていた。
「押しつぶしても無駄だってのに・・・・」
「黙ってろ」
相手の手を読み、呆れたように溜息をつく加々宮。やれやれと肩を竦めて、手のひらを上に向ける。
それを、蒔風の一言が押しつぶした。
蒔風の腕の動きに合わせて、土塊が流れていく。
幾つかは球体となって周囲を飛び回り、幾つかは場を囲む結界のように、紐状になって周囲を覆う。
「大地に伏せし厳なる力」
言葉に合わせ、大地が呼応する。
力を込める時間があれば威力が増すのが、こういった能力の基本ではあるが、蒔風の今の状況はそれを越えていた。
どうあってもこの一打で加々宮を終えるつもりなのだ。
「この手に乗り、放たれて、竜と化して押し潰せ」
詠唱自体に意味はない。
詠唱をすることに意味がある。
倒す覚悟と、護る信念と、ここに立つ誇り
その三つを混ぜ合わせた胸中には、今まで以上の感情が膨れ上がっていく。
「行くぞ・・・・」
「潰して見せろ!!どんだけ無駄なことか教えてやるよ――――!!!」
腰を落とし、左腕を加々宮に真っ直ぐに向ける。
それは標的を据えるように、それをロックするかのようにゆるぎないまなざしで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ