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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
魔術師の起動
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、即座に左手の拳で腰の部分を殴りつけ、それを粉々に砕いたのちに残った右腕の拘束も砕いた。


そして右手首をさすり、驚嘆の声を上げて理樹を再評価する。


「硬いだけでなく万能。なるほど、確かに厄介だ」


もしもあのまま左腕が拘束されていれば、アライアはそのまま両脚まで拘束され、一切に身動きが取れないまま勝負は決まっていただろう。

いくらアライアが硬くとも、力の入らない状態で拘束されては一気に割ることは不可能。
ゴリゴリと少しずつ削っても、その場で修復されてしまうのがオチだからだ。



「だが今の手は知った。もう取らせん」


理樹は焦っていた。
もしも、今のを本気で出来ていたら勝っていたかもしれない。

他の戦闘は目に入ってこないが、もし自分が皆の足を引っ張っているとしたら・・・・・



(それだけは・・・・!!!)



直枝理樹の額に、冷や汗が流れる。
「EARTH」所属の翼人のうち、もっとも普通だった少年で、もっとも若い彼は

今、最大の敵と直面していた。


それは、決して目の前の男だけではない。




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蒔風の周囲を、土惺の力で浮き上がった地表が渦巻いている。

まるで水か何かのように流動する土塊は、鰐のように顎を開き、蛇のようにのたうっていた。


「押しつぶしても無駄だってのに・・・・」

「黙ってろ」


相手の手を読み、呆れたように溜息をつく加々宮。やれやれと肩を竦めて、手のひらを上に向ける。

それを、蒔風の一言が押しつぶした。


蒔風の腕の動きに合わせて、土塊が流れていく。
幾つかは球体となって周囲を飛び回り、幾つかは場を囲む結界のように、紐状になって周囲を覆う。


「大地に伏せし厳なる力」

言葉に合わせ、大地が呼応する。
力を込める時間があれば威力が増すのが、こういった能力の基本ではあるが、蒔風の今の状況はそれを越えていた。

どうあってもこの一打で加々宮を終えるつもりなのだ。


「この手に乗り、放たれて、竜と化して押し潰せ」

詠唱自体に意味はない。
詠唱をすることに意味がある。



倒す覚悟と、護る信念と、ここに立つ誇り
その三つを混ぜ合わせた胸中には、今まで以上の感情が膨れ上がっていく。



「行くぞ・・・・」

「潰して見せろ!!どんだけ無駄なことか教えてやるよ――――!!!」


腰を落とし、左腕を加々宮に真っ直ぐに向ける。
それは標的を据えるように、それをロックするかのようにゆるぎないまなざしで
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