第六章 Perfect Breaker
状況不利の戦場
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振られた剣からは、その一線だけではない刃幕が一気に溢れ出してきた。
全てを覆う刃の壁。
それが音速を超えてフォンへと飛来し、その一帯の地面を吹き飛ばしにかかった。
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「こんなもんか」
加々宮を獄炎の炎で焼きつくし、蒔風がセルトマンを見据える。
あの男の自信からして、恐らくこの状況でも再生できるのは間違いないだろう。
だが関係ない。
全身を焼き尽くしているのだ。その再生が済むまでの間に、セルトマンの儀式を止めればいいだけの話。
一瞬、セルトマン視線が交差する。
そして、一歩踏み出した時、蒔風はその視線が自分の一歩後ろに向けられていることに気付いた。
ザァッ・・・・
「言ったろ」
「!!」
「無駄だと」
蒔風の背後から、腕が回されて首元にナイフが当てられていた。
足の力を抜き、崩れ落ちるように倒れる蒔風。
直後、ナイフの首を掻っ切る動作は、何もない空間を通過して行った。
地面を転がって、膝立ちのまま身体を返して背後に向かう蒔風。
そこには、惜しそうな顔をして加々宮がナイフを指で弾いていた。
「焼き尽くそうが、俺は死なねぇよ」
(・・・・再生場所まで自由自在か・・・・・)
セルトマンがあの時見ていたのは、無数の塵が集まって再生して行く加々宮の上半身だったのだ。
もしもあの視線がなければと思うと、蒔風が首元に手を当ててゾッとする。
同時に、確信した。
あのアーヴ・セルトマンと言う男は、本当に自分たちを戯れ程度にしか考えていない。
だからこそ、こちらにヒントを与えるような真似までしてくる。
簡単に終わってくれるなよ、と。
「上等だ」
湧き上がる劇場から、ブチブチと草を握り、土を少し抉り取って握りしめる蒔風。
ユラリと立ち上がって、加々宮に向かい合う。
「面白れぇ。焼き尽くすよりも、もっと面白い倒し方してやるよ、お前」
パラパラと握っていた物を落とし、パチンパチン、と軽快に指を鳴らしてから、人差し指でクイクイと誘いをかける。
「来いよ。まずはお前からだ」
地面が盛り上がり、蒔風の周囲を土が跳ね回る。
幾つかは柱のように隆起し、幾つかは浮き上がってすらいる。
加々宮はそれに対してもニヤリと笑い、蒔風への攻撃を開始した。
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「まったく、みんな好き勝手し
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