暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
雨 降って
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
しかった。そのことをお前が負い目に感じてどうすんだ!!いいか、俺はお前が殺されてくれなくてよかったと思ってんだよ!!」

「・・・・・・」


唖然としてショウを見る蒔風。
完全にキレている。が、その言葉は蒔風を威圧する者でも罵倒するものでもない。


「お前は勝った。最後までな!!結果オレは間違えないで済んだんだ。お前、それが無駄だったと思ってんのか!?えぇ?答えろよ!!!」

「・・・・そうだな」

「あ?」

「わり、どうかしてた」

「・・・・ッ、たく。バカかってんだテメェは」

「バカとは心外な。アホと言え」

「今回ばかりはテメェはバカだよ。「蓋」とれて弱気になってんじゃねーよ」

「・・・・かもな」

ざばっ、と池から完全に出て、大の字になって転がる蒔風。
その蒔風を放るように放し、ショウもしゃがむ。



「あー・・・・言われるとすぐに弱気なっちまうんだよなぁ」

「ふん・・・同じオレなら強く生きろっつったのはどこの誰だよ」

「わりーって」


静かな会話を二言、三言し、ふと空を見上げる。

静かな夏の空。
遠くでは入道雲がむくむくと育っていた。



「なあ・・・・俺やっぱいま弱い?」

「たりめーだ」

「じゃあ・・・・・またなったら頼むわ」

「断る」

「えぇ〜・・・・」

「だが」

「?」

「そのいけ好かねぇツラは、いつだろうといくらでもぶん殴るってやる」

「・・・・プ」

「――――似たような顔だと気味がわりーんだよ!!それがしょぼくれた顔ならなおさらだ!!形変わるまでぶん殴ってやる!!!」

「じゃあ・・・・俺より先に死ぬなよ」

「おーおーそのつもりだ。おめーが先に死んでその面二度と見なくていいようにしろ。あとな、まだ勝手にやったこと許してねーから」

「どうすりゃいいのだ」

「何があっても、諦めんじゃねぇ」


数秒の空白


そして、ため息。
言いたいことを言っただけ言って、ショウはそのまま去ってしまう。

嵐のようにやって来たかと言えば、何事もなかったかのようにいなくなってしまった。



蒔風が頭に手を回す。
身体を乾かすには、夏の日差しでも流石にまだ時間がかかる。



「もう少し、のんびりするかね」

そうして、目をつぶる。



遠くの積乱雲から、ゴロゴロと音が聞こえてきた。




to be continued

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ