第六章 Perfect Breaker
雨 降って
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がその言い方が明らかに臭いのだ。
そう、まるで「この話をしたら彼がかわいそうだよ〜」と、解っていて出し惜しみする、ある種の嫌味に近い雰囲気。
「早く話を進めていただけないか」
『・・・・ふむ。ではこれを』
口調もさらに強くなり、モニター内でさらに映像がいくつか映し出される。
『君たちは会場の観客避難を誘導させるために、その使い魔を使用したそうだな』
「あれだけの広範囲をカバーするのに、自分たちだけではどうしても手が足りなかったんで」
蒔風の記憶内ではワルプルギスの夜とその使い魔を撃退していたはずだが、映像内では魔獣を相手にしている。
そのモニターには蒔風と七獣が映されていた。
「まさか今ごろ、あいつらを調べさせろなどと言うわけではないでしょうね」
『そんな話ではない。問題はこっちだ』
そして、蒔風たちの映像が消されて映し出されたのは
「・・・そういうことか」
『そう。彼は確か「EARTH」の副局長だな』
蒔風ショウと、その使役獣である三体の魔獣の姿が映されていた。
「彼とは皆さんも会っているはずですが」
『ああ、何度かうちにも来ていたからな。だが、その時は気づかなかったよ』
そうして、更に映された映像には数年前の事件が。
倒壊し、炎上する地上本部と、ケルベロス
そしてそれを切り倒したサラマンドラ
浮上したゆりかごの周囲を飛び交う迦楼羅
それらそれぞれを比べつかのように、今回の映像と並べられている。
『当時の彼は、姿のはっきりしない・・・・「奴」だったかな?』
『この映像に映っている獣と、今回の使役獣。一体はわずかに形状が違うようだが、同じものだろう』
『答えてもらおう、蒔風局長。彼は、数年前のJ・S事件においてゆりかごを強奪し、我々に牙を剥いたものと同一人物か』
『当時の報告書には、主要人物なる者を殺害し世界を食らう、とあった』
『君はそんな犯罪者を、副局長にしたのかね』
内心
蒔風はついに来たか、と思っていた。
ショウのことをよく知る人間ならば、もはや彼がそう言うことをする者ではないことはわかっている。
だが、その過去はどうあっても消せるものではない。
彼が数多くの人間に刃を向け、その命を脅かし、世界を崩壊させようと目論んでいたのは事実だ。
現在の「EARTH」の中にも、少ないとはいえ彼を警戒する者はいないわけではない。
その現状を、ショウ自身もすべて知ったうえで、必要あらばその償いはすべてすると言ってもいる。
だが、蒔風はそうではない。
ショウはもう十分に苦しんだ。
もはや望んだ自分の世界は戻せず、自らそれを破
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