第六章 Perfect Breaker
緊迫の再会
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風が地面に倒れ、男が膝をつきながらも滑って耐える。
「だ・・・大丈夫ですか・・・・・?」
「え・・・・」
ビルの中から、声がした。
どうやら、うまく男を吹き飛ばしつつ少女の近くに行けたみたいだ。
あの男の狙っている少女と言う子の声がした。
蒔風はそちらに目を向ける。
いつも通りに笑って、大丈夫、と言う。
否、――――言おうとした。
現に、顔は笑い、口は「だい――」までは動いていた。
しかし、それが止まる。
少女ではない。少女の声は、まったく初めて聴いたものだ。知り合いのものではない。
蒔風が止まったのには、隣の青年が関係していた。
「音・・・無・・・?」
そこにいたのは
いつかの世界で出会った青年。
死後の世界で、大切な人と再会することを祝福し、送り出した青年だった。
だが
(こっちでも同じ音無って名前だとしても、アッチはもう俺のことは知らないからな――――)
そう、もし転生したのならば、彼にその記憶はない。
だがとりあえず、蒔風のやる気は上がった。
瞬間
青年の言葉が、蒔風の思考を止めた。
「蒔風!!お前蒔風だよな!!何がどうなってんだ!?」
「は――――――?」
――――――――思考が停止する。
ダァンッッ!!
「ッッ!?クソッ!!」
男の猛然とした、大地を駆る足音。
その音に蒔風がハッとして構え直す。
(いまどうしてこうなったのか・・・・それは、後だ!!)
ワンテンポ遅れて、蒔風も男に向かって駆け出す。
拳を構え、相手と正面からぶつかるつもりだ。
「だがとりあえず・・・・お前はここで倒さないといけないようだ!!」
音無の記憶が戻った。
それ自体はまだいいが、その要因が問題だ。
世界には自己防衛機能がある。
かつて蒔風が世界をめぐったときも、それはいかんなく発揮されている。
時に戦う力を戻し、時には失った記憶を取り戻させた。
そのおかげで蒔風の話も早く進み、「奴」への共闘の話も手早くすすめられる。
さらに言えば、単純に戦力増加にもつながるのだ。
本人が戦いたがろうとなかろうと、世界はそれを実行する。
もし
今回の音無の記憶が戻ったことが、その要因ならば
蒔風との記憶があった方が、迅速に事態を処理できると考えられるのならば
「世界」がそこまでして、この男と少女―――立華奏との接触を回避させようとしているのならば
この男には、世界を破壊させる目論見がある。
「それだけはさせない――――!!!」
当然、それだけの危
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