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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第三十七話 伝授
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貸し、なのはと共にアスカを医務室に運ぶ。
それを、心配そうに見ながらティアナ達もついて行った。
そして、駆け寄らなかったアルトとヴァイスはその様子を離れて見ていた。
「いいのか?アスカの所に行かなくて?」
ヴァイスが隣で佇んでいるアルトに声を掛ける。
「まあ……今はスバル達の方がすごく心配してるでしょうから……」
静かに笑うアルトは、どこか寂し気だった。
訓練場を出たシグナムは、騎士甲冑を解除して隊舎へと向かっていた。
隊舎近くに来ると、見覚えのある大男が壁に寄りかかり腕を組んでいるのが見える。
「ザフィーラか。人間形態は久しぶりだな」
夜天の書の守護獣、ザフィーラがシグナムを待っていた。
「……きつそうだな」
一言、ザフィーラが言うと、
「まあ、な……」
グラリとシグナムがよろめいて倒れそうになる。
ザフィーラは素早く彼女を受け止めると、肩を貸した。
「未熟とは言え、本物の紫電一閃を喰らったのだ。無事な訳があるまい」
呆れたようにザフィーラが言う。
紫電一閃を伝授する為、あえてアスカの一撃を身に受けたシグナム。
皆の手前、意地でも倒れずにここまで歩いてきたのだ。
「見ていたのか?」
「あぁ、一部始終な。お前が不器用だとは知っていたが、あそこまでとは思ってもなかったぞ」
シグナムを支えたザフィーラが隊舎に向かって歩き始める。
「……ザフィーラ。私にも、誰かに伝える事ができた」
シグナムが語り出す。
「あぁ」
「ふふ…ヴィータが教導にのめり込む訳だ」
「うん?」
「伝わった時の歓び…これは鍛錬では得られない物だ」
「そうか」
「誰かに…伝えると……言うのも………悪く…………ない…な……」
そこでシグナムの意識が途切れる。
アスカの紫電一閃の威力は、鍛え上げれば本物になるという証拠だろう。
ザフィーラが気を失ったシグナムの顔を見る。
「……お前とのつき合いも長いが、そのように笑う事もできるのだな」
そこには、安心したように微笑んで眠るシグナムがいた。
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