偵察
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たこともあり、彼女たちは空いているスペースでキャッチボールを行おうと動いたのだった。
「間に合ったみたいだな」
真夏の太陽が登りきろうとしているその時、スタンドにスターのようなオーラを放っている3人がやって来た。
「はぁ、英玲奈急ぎすぎよ。途中からだってよかったじゃない」
「いいわけないだろ、あんじゅ。春の試合で華崎徳春の円山にホームランを打たれたのを忘れたのか?」
3人のうち背の高い2人がそんな話をしながら辺りを見回す。すると彼女たちをビデオを構えスコアを取っている少女たちの一人が呼んでいる。
「すまないな、わざわざ席を取ってもらって」
「いえいえ。英玲奈さんの頼みなら」
UTX学園の主将統堂英玲奈、彼女たちよりも早く訪れていたのはUTX学園野球部のビデオ班である。
「オーダーは春と変わりなしか?」
「そうみたいですね。そしてこの試合でも継投を使ってくると思いますよ」
「えぇ・・・またあの変なサイドスローとやるのやだぁ」
春の関東大会で対戦したこともありお互いの手の内はわかっているが、この数ヶ月で何か新しいことを覚えているかもしれないと偵察に余念のないUTX学園。さらには彼女たちを倒す最有力として挙げられていることもあり、主戦力3人が視察に訪れるほどだ。
「あれ?華崎の相手横濱じゃないの?」
そんな中彼女たちよりも小さな背丈のオデコが見えるほど前髪を短くしている少女がスコアボードを見ながら席につく。
「ツバサ・・・聞いてなかったのか?」
「え?何を?」
「横濱は初戦でコールド負けしたのよ。あの音ノ木坂って高校に」
「そうだっけ?」
「そういいましたよ(汗」
横濱高校が破れたことは事前に知らされていたが、UTX学園エース綺羅ツバサは全く聞いていなかったようで、初めて聞いたかのような態度を見せていた。
「音ノ木坂って野球部なかったよね?」
「今年できたらしいぞ」
「それで横濱を倒すなんて、相当いいピッチャーでもいるのかしら?」
初出場でいきなり強豪相手に大金星。それだけで話題性としては十分で、球場は普段よりも多くの人で賑わっていた。
「あら、音ノ木坂1番キャッチャーじゃない!!しかもこの子キャプテンよ!!ずいぶん信頼されてるわね」
選手名鑑を取り出し大はしゃぎ。その様はまるで子供のようで、その場にいる皆微笑ましそうに見つめていた。しかし、その直後雰囲気が一転する。
「え?音ノ木坂の監督って・・・」
選手名鑑を握っていた手に力が入り、グシャリと潰れる。その後彼女の表情を見ると、それに全員が背筋を凍らせた。
「なんであいつがこんなところで・・・」
天王寺剛の名
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