暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン78 鉄砲水とシャル・ウィ・デュエル?
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「じゃあ清明、約束ね、ってさ」
「約束ねでしょ?ああうん、わかってるよ。この話はこれでおしまい、きっぱり諦めます。これでいい……よね?」
「……馬鹿。そっちじゃないよ、だって。言うこと、聞いてくれるんでしょ?」
「ああ……」

 素で忘れてたけど、そういえばそんな約束もした気がする。それも2つも。完全に忘れていたことがお気に召さなかったのか、ちょっとむくれながらも夢想が指を1本立てる。まあ約束したうえで負けたのはこっちなんだ、何を言われても潔く受け止めよう。あ、でもこれ以上私に関わらないで、とか言われたらどうしよう。登校拒否にでもなろうかな。

「じゃあ、まず1つ目。これからは私に隠し事はなしでね、ってさ」
「はい……」

 当然の要求だろう。大人しく頷く僕に、2本目の指を伸ばす。

「それと、2つ目は……」





「それでは本日お集まりいただいた3年生のみなさん、これより本日のメインプログラム!3年生と下級生対抗による、ペアデュエル対決を行うザウルス!」

 時は流れ、ペアデュエル大会当日。司会の剣山が絶好調でマイクを握るのを遠くに聞きながら、僕はといえば厨房で、本業に精を出していた。

「葵ちゃん、これ10人前サイズの酢豚とグラタン持ってって!それが終わったらこのおでんも仕込み終わるからそっちもよろしく」
「かしこまりました。お任せください、先輩。しかしひっどいメニューですね、せめて地方ぐらい統一したらいかがです?」
「んなこと言ったって、どうせバイキングだしねえ。嫌なら食べなくていいんだよ?」
「めっそうもない。では、配膳行ってきます」

 ……そう、パーティーの真っ最中にもかかわらずなぜか厨房に立っているのだ。当初のパティシエという話はどこへやら、いつの間にか総料理長にまで格上げされていた。幸いトメさんたちがその半分を担当してくれているが、それでも残りに関しては僕がリーダーだ。おかげで仕事量は飛躍的に増えてしまい、その結果として一応僕も卒業生であるにもかかわらずなぜか祝われる側でなく祝う側に回るという珍事態が起きてしまっている。本当に、どうしてこうなった。せめてもの抵抗かつ先日の償いとして、助っ人という名の生贄に葵ちゃんを引きこめたのが唯一の救いだろうか。
 ま、そうは言っても別に本気で嫌だというわけではない。デュエルできないのはちょっと残念だけど、こうして厨房に立って予算のことを気にせず思いっきり作りたいものを作れるというのはなかなか得難い経験だ。それに、この仕事にはもう1つ役得なことがある。両手に大皿を載せているにもかかわらずまったくバランスを崩さず出て行った葵ちゃんの背中を見送って、隣で卵焼きを器用に丸めるエプロン姿の彼女にも声をかけた。

「そっちはどう、夢想?」

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