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翠碧色の虹
第九幕:見えていない虹
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っている七夏ちゃんが映し出される。

時崎「七夏ちゃん、あっちに映ってるっ!」
七夏「えっ?」

七夏ちゃんはその方向を見てしまう・・・すると、せっかく色が変わっていた瞳が翠碧色になってしまった」

七夏「えっと・・・」
時崎「七夏ちゃん、そのまま正面見てて」
七夏「はい」

俺は、もう一度、鏡扉の角度を変え、瞳の色が変わった所で、

時崎「七夏ちゃん、ほらっ!」
七夏「え!?」
時崎「この方向・・・」
七夏「え? どこですか?」
時崎「ここ・・・」

俺は七夏ちゃんの目線に近くなるように、自分の目線を近づける。

七夏「柚樹さん?」
時崎「ん? おわぁっ!!」
七夏「ひゃっ!!」

此方に振り返った七夏ちゃんの顔が、俺の目の前にあって、かなり驚いた。もうひとつ驚いたのは、間近で見た七夏ちゃんの瞳の色が、左右で異なっていた事だ。この理由は分かる。見る角度によって色が変わる「ふたつの虹」に近づけば、視点に対し、ふたつの目の注視点の間隔は広くなる。「オッドアイ」のように見えたふたつの虹・・・これは、今までは「見えていない虹」であった。

時崎「ごめんっ!」
七夏「いえ、私こそ、びっくりしちゃって」
凪咲「七夏!? どうしたの?」

今の大きな声で、凪咲さんが声をかけてきた。

七夏「な、なんでもないですっ! 柚樹さん、ごめんなさい。また後でっ!」

そう言うと、七夏ちゃんは慌てて自分のお部屋に戻ってしまった。後で謝っておかないと。

時崎「凪咲さん。三面鏡、ありがとうございました」
凪咲「はい」
時崎「ちょっと、七夏ちゃんに謝ってきます」
凪咲「大丈夫じゃないかしら? 七夏、恥ずかしがっているだけみたいだから」
時崎「え? そうなのですか?」
凪咲「七夏、『また後で』って、言ってたから」

そう言えば、ちょっと焦ってて気が付かなかったが、確かに「また後で」と言われた気がする。

時崎「ありがとうございます」
凪咲「柚樹君。和菓子があるから、どうぞ。後で七夏にも渡してくれるかしら?」
時崎「はい。ありがとうございます」

結局、七夏ちゃん自身は、瞳の色が変わる事・・・「ふたつの虹」は「見えていない虹」となっている。俺は、七夏ちゃんに本当の瞳の色を伝えてあげたいと思い、なんとかその方法がないか考える事にした。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

しばらく考えてはみたが、瞳の色が変わる原理は分かっても、それが何故、七夏ちゃんには分からないのか、わからない・・・。

「カラン」と、音がした・・・凪咲さんから貰った緑茶の氷が解けてゆく・・・。
凪咲さんに、七夏ちゃんの分の緑茶を貰い、和菓子を持って、七夏ちゃんのお部屋に向かう。七夏ちゃん・・・落ち着いたかな・・・軽
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