第九幕:見えていない虹
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いるとしたら、それは、とても魅力的な方向だから・・・俺はそんな七夏ちゃんが羨ましいよ」
七夏「羨ましい・・・」
そう呟いた七夏ちゃんは、少し複雑な表情になってしまった。
時崎「ん? 俺、何か、気に障る事を言ったなら謝るよ」
七夏「いえ、その『羨ましい』って言う言葉。私にはちょっと重たくて・・・」
時崎「ごめん。気をつけるよ。良かったら理由を聞かせてくれるかな?」
七夏「えっと、私、目が羨ましいって、言われる事があって・・・」
七夏ちゃんの瞳が羨ましい・・・そりゃ、多くの人がそう思っても不思議ではないだろう。かく言う俺も、七夏ちゃんの瞳に魅せられているのは確かだ。
七夏「私、自分の目の事は良く分かっていなくて・・・」
時崎「分かっていない?」
七夏「はい。みんなは、私の目の色が変わるって言うのですけど、私には・・・」
その続きは俺にも分かる。それは前に七夏ちゃんが話してくれた事。自分の目の色が変わる事を、自分では確認できないという事らしい。鏡を見れば、すぐに分かりそうだが、そんな事は、既に実行しているだろう。第一、お洒落な女の子が、鏡で自分の姿を見ないなんて、考えにくい。
時崎「七夏ちゃんは、自分の目の色は、いつも翠碧色に見えているんだよね」
七夏「翠碧色・・・あ、柚樹さんが撮ってくれた私の写真の色?」
時崎「そう、その色が翠碧色」
七夏「はい・・・。私、自分で鏡を見ても、目の色が変わるようには、見えないです」
やっぱり、既に鏡で確認しようとしていたみたいだ。ん? そう言えば七夏ちゃんと目が合うと瞳の色は翠碧色・・・という事は、七夏ちゃん自身が鏡で自分の目を見ても、その時の瞳の色は、当然翠碧色になっているのでは? 七夏ちゃん自身が鏡から視線を逸らしつつ瞳を見る方法・・・三面鏡だ!
時崎「七夏ちゃん!」
七夏「は、はいっ!」
時崎「三面鏡ってある?」
七夏「三面鏡・・・えっと、一階の和室にあります」
時崎「ちょっと借りてもいいかな?」
七夏「はい。では、案内しますね」
俺は、七夏ちゃんに案内され、一階の和室へ向かう。
凪咲「あら、七夏、柚樹君。どおしたのかしら?」
七夏「お母さん。三面鏡借りてもいい?」
凪咲「いいわよ」
時崎「凪咲さん、ありがとうございます」
凪咲「はい。どうぞ」
七夏ちゃんと三面鏡の前まで来た。
七夏「柚樹さん?」
七夏ちゃんが、どうすればいいのか分からず、視線を送ってきた。
時崎「七夏ちゃん、三面鏡の前に座って」
七夏「はい」
七夏ちゃんを三面鏡の前に座らせて、三面鏡の左右の鏡扉を開ける。
七夏「・・・・・」
俺は、三面鏡の左右の鏡扉の角度を変え、七夏ちゃんの瞳の色が変わる角度を探す。鏡扉に瞳の色が変わ
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