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異説外伝『知られざる異次元体』
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ならば……名前をつけてあげよう。
――アオイ=カズハの聖剣――







                 U







再びカズハが目にした世界は、まさに虚無の空間だった。
それ以外に比喩する言葉が見つからない、正真正銘の無の世界。
僅かな星の光が存在する新たな世界に至るまで、カズハは多くの経験をした。
エーテルテクスチャーの恩恵は、彼女に天空を駆けあがる術を与えた。
それだけではない。エーテルという神の力は、宇宙という領域に足を踏み入れる許可を、彼女に与えた。

(……不快感?)

絶対零度に近い空間は、彼女の素肌を直接凍りつかせる。宇宙服で外に出るのとはわけが違うので、圧迫、解放される違和感を瞬間的にカズハは受け止めていた。
宇宙的概念で言えば、空間の99、9%は伝導性プラズマ気体が流動している。他にも重力や暗黒物質のダークマター、並行次元、その他多様のエネルギー体が宇宙を支配していると言ってもいい。
そして、もう一つのエネルギーが発見された。
プラズマより高次元に位置する母体相エネルギー、エーテルである。
人類の科学力では検知不可能のエネルギー技術を、カズハはなんと祖父のアオイ博士を出し抜いて突き止めたのだ。
そして……初めて見る青き星の美しき姿に、カズハは目が釘付けになった。

「……とても綺麗で、でかくて、吸い込まれそうな青」

地球という宝箱の中で、私達は生まれた。
微かに輝く小さな光は、まるで箱の中のジュエルのようにも見えた。
希望がいっぱい詰まった大好きな宝箱。
パンドラの箱も、いつかは希望で溢れかえることを、私は信じてる。
身震いする感動を味わうもつかの間、エーテルテクスチャーで航行移動をしていたカズハは太陽系最大の惑星に差し掛かる。

「……」

冷たい思考のまま、ついにカズハは約束の場所、木星へと到達する。
かつての原種大戦の天王山であり、そして獅子王凱が宇宙飛行士を志すきっかけを作った木星。
そう、全てはここから始まったといってもいい。
未知なるエネルギー、ザ・パワーが内包されている木星は、人類にとっていまだ手に余る。
そんな木星は人類の凶牙となって、今襲いかかろうとしているのだ。

「……来る!ヤツが!」

――ゴゴゴゴゴゴ――

本来空気のない宇宙では、音が聞こえる事はないはずだ。だが、カズハには不気味な波動音が確実に感じられる。
今まさに……木星が揺らいでいる。
地球上生物的表現を言えば、卵から雛鳥が還る瞬間のようだ。
ザ・パワーを纏い、木星の大気層という殻を打ち破り、勇者王に匹敵する巨体は次元世界に降り立った。
地球を守り抜いた勇者王の姿に酷似しているが、印象は180度対照的だ。
禍々しい風容が全てを飲み
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