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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
嫉妬の炎
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隠蔽を発動。 完全に戦闘状態に入っている状況なので感知されなくなるほどの効果は期待できないけど、それでも困惑したように動きを止めた2体の蟻に踏み込むと、その足元から短槍を回収して、ついでにアッパー気味の掌打を放った。
左腕に装備したガントレットが付与されているノックバック増大の効果を十全に発揮し、蟻の身体を僅かに浮かせることに成功する。 もう1体の蟻は元気にこちらを睨むので、回収した短槍を見様見真似で投擲してみた。
「あれ?」
けど、いかんせん不慣れだからか、それが蟻の身に突き刺さることはない。 ガィンと硬質な音を響かせてあらぬ方向へと飛んでいってしまう。
やれやれまた回収か、と諦め気味に息を吐いたところで宙を舞う紅色が僕の視界の半分以上を覆った。
「ヘイ、フォラス、ナイスパス!」
「嘘でしょ……」
「喰らい晒せ! 蹴り☆ボルクゥ!」
信じ難いことに、飛んでいった短槍に先回りしたシィさんが宙空で身体を捻り、柄頭に痛烈な蹴りを入れたのだ。 それの軌道は綺麗に直線の尾を引き、僕が先程怯ませ、そして既に復活していた蟻の腹部に突き刺さる。
その成果を確認するでもなく音と位置関係で把握した僕は、鞘に納めていた片手剣の片割れを右逆手で引き抜き、最後に残っていた蟻の脚を斬り飛ばす。 グラリと揺らいで低くなった頭部にその場で反転した勢いを乗せて逆手に握った剣を突き刺して完全に命を摘み取った。
なお、この交錯の際はスカート姿のまま行われたものだけど、神の悪戯かシィさんの技量か、その中が覗けることはなかった。 非常に残念である。 ……ごめん、今のなし。
「およ? フォラス、顔赤いけどー?」
「気のせいだよ」
「お、もしかしてパンツ見えなくて残念とか思った?」
「まさか」
「なんなら見る? 今ならチラッと見せてあげてもいいんだよ?」
真面目な顔でスカートの裾を指で摘むシィさん。
「……いい。 見ない」
「にひひ、ちょっと悩んだっしょ。 このむっつりめ」
「純情な男の子をからかうんじゃありません」
「純情」
「何か?」
「いやー、べっつにー。 思春期エロガッパかって思っただけ」
「エロガッパ……」
何気ない一言に傷付いたのも束の間、アマリのいる方向から凄まじい爆発音……否、爆裂音が轟いた。 どうやら向こうも終わったらしい。
「……結局、無限湧きはしなかったね」
「されてたら面倒だからいいじゃん。 あ、フォラス的には時間稼ぎがしたかったとか?」
「答えがわかってるなら聞かないでよ」
「あっはっは、悩め悩め少年よー」
朗らかに笑われてため息を吐くしかできなかった。
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