暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
8時じゃないけど全員集合
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いんだけどさー、フォラスがいきなり『アマリ!』って叫んだと思ったら大疾走。 その直前にストレージ開いてたからこの事態を察したんじゃないかな? 虫の知らせって奴かも」
「虫の知らせ、ねえ。 つーか、あいつはあいつのあれを知ってるんだよな?」
 「知らないってことはないんじゃない? フォラスってかなり事前準備とか情報収集とか、そう言うの徹底してるっしょ?」
 「知ってて最前線に立たせてんのかよ……」
 「そこはまあ、私たちが口出しすることでもないんでね?」

 殊更突き放すような声音はそのまま彼女の優しさなのかもしれない。 触れて欲しくないだろう部分を巧みに回避する嗅覚はさすがと言えた。 相手をからかうことが大好きなシィだが、絶対に踏み越えてはいけないラインを考えなしに踏み越えたりはしないのだ。 もっとも、それは逆に、考えがあれば踏み越えると言うことでもあるが。

 「ユーリさん」

 と、そこでようやくフォラスがユーリに意識を向けた。 今まで無視していたことなど露ほども匂わせず、さながら今初めて気がついたかのような自然さで。

 「アマリのこと、ありがとね。 ここまで運んでくれたんでしょ?」

 その声は穏やかで、その表情は柔らかく、しかしその瞳に宿る鋭い光は怒りだろうか。 少なくとも言葉通りに感謝をしているようには見えない。 怒りを向けられる心当たりのないユーリは小さく首を傾げてみるが、やはり心当たりは見つからなかった。

 「で、どうやってアマリのことを運んだのかな? 背負ったの? 抱えたの? 引き摺ったの? もちろんどう言う手段であれアマリに触れたんだよね? どこに触れたの? 腕? 手首? 身体? どうやって触れたの? そっと? ぎゅっと? ぐっと? ねえ、答えてよユーリさん。 ねえ?」

 あ、これヤバイ

 とユーリが感じたのかはわからない。 だが、非常に微妙な気分になる追求だった。
 もちろん倫理コードがあるので疚しいことはなかった。 背負っての移動ではなく肩に担いでの移動だったので色めかしいことなんて一分として存在していない。 そもそも緊急事態ではなくとも異常事態ではあったので、そんな余裕があるはずもなかったのだ。 余裕があれば楽しむと言うわけでも断じてない。

 ユーリからすれば心外な話だ。 だが、同時にわからない話でもない。
 あるいはシィが同じ状況になってフォラスが運んだとしよう。 そうなれば感謝こそすれいい気分がしないだろうことは容易に想像できる。 理不尽とわかっても理屈ではないのだ。

「すま――「とまあ、冗談は置いておいて」

 故に詫びようとしたユーリだったが、その声はフォラスによって遮られてしまう。

 「安心してよ。 アマリのことは大事だけど、そこまで電波じゃないつもり
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