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幻影の旋律
恐怖のお胸様事件簿
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んはどう?」
「ええっ、ボク??」
「防具でならどうにかできないかなーって。 具体的には胸当てとか」
「無理だよ! できるにはできるけど、やっぱり違和感が出ちゃうからダメ!」
「それはプロの美意識的に?」
「当然」
鼻息荒めに否定されたけど、そう言う理由なら仕方がない。 僕も裁縫スキル持ちの端くれとして、その感覚はよくわかるのだ。
服や防具のような外的要因で胸を増量すると、レイさんが言うようにどうしても違和感が出てくるのだ。 それが果たしてここでだけのことなのか、あるいはリアルでもそうなのかは定かではないけど、とにかくその違和感は生産職の僕たちからすれば見過ごせない問題で、だからこそ手詰まりになってしまう。
そもそもこの手の話しは今まで何回もやっていて、その度にその結論に至ってきた。
アマリの胸はもう手の施しようがない。
これがあるいはリアルであればもう少しどうにかできる可能性はあるし、万に一つの可能性ではあるものの成長するかもしれない。 まあ、その可能性を万が一と言うしかない事実が中々にあれだけど……。
「ふふ……」
と、普段であればこれで終わっていたはずのアマリが唐突に笑った。
それはいつもの緩い笑いでも、戦闘中に見せる狂的な笑いでも、極稀に垣間見ることのできる素の酷薄な微笑でもない、満面の笑み。 擬音にするならば『ニパッ』と言ったところか。
少なくとも僕の知るバリエーションにはない笑顔だった。 つまりは完璧に初見。
それは可愛らしい笑顔だ。 今まで見てきたアマリの笑顔はどれも抜群にキュートだったけど、その中でも異彩を放つ可愛さ。 それこそ写真に撮って額縁に入れて飾っておきたいくらいの破壊力。
「…………っ」
だと言うのに、なぜかはわからないけどゾッとした。
言うなれば野性の勘か、あるいは今まで培ってきた殺人者としての直感か、とにかくゾッとした。
「ふふ、うふふ……フォラス。 私、とてもいいアイディアを思いつきました」
「どうしてかな、すっごく嫌な予感しかしないんだけど……」
「うふ、そう言わずに聞いてくださいよ」
うふふ、と怪しく笑ってアマリが立ち上がる。 そのままふらふらと幽鬼のように歩いていくさまは恐怖以外の感情を抱けない。 アマリに甘い自覚のある僕のフィルターをもってしても、だ。
「……レイさん、一緒にアマリを捕まえよう」」
「ちょっ、なんでボク??」
「こう言う時は誰かを道連れしないと怖い……って言うかお願い僕を1人にしないで!」
「こんなことで頼られても嬉しくないよ!」
「お願いしますレイさん! 後で素材集め付き合うから!」
「そんなに嫌なの??」
「あのアマリは慣れてないから落ち着かない
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