夢
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季節は春
綺麗に舞い散る桜に去年は出来なかった花見の分まで楽しむかのように今日も今日とて博麗神社の前には沢山の幻想境の住民が集まっている
幻想境では花見にも弾幕ごっこは欠かせない。互いに己のだけの弾幕を作り、技と華やかさを競い合う。その光景を肴に酒を飲むのもまた一興
そんな楽しい時間はすぐに過ぎ時間は夕暮れに
大抵の人物はとっくに酔いつぶれそこら辺に寝転がり、酒に強い数少ない妖怪のみが未だに酒を飲み続けている
そんな光景を他所に神社の裏で一人で寂しく飲む一人の姿があった
この神社の巫女、博麗霊夢
酔いで少し頬を赤めた彼女は手に持った杯の酒をチョビチョビと飲むと外の風景を見ながらボーっとしていた
「あら、こんな所に居たのね」
頭上で声が聞こえた。視線を少し上へずらすとそこには両端にリボンを付けた空間の隙間に腰を掛けた少女(?)がいた
「どうしたのよ紫。今日は来ないんじゃなかったの?」
「少し暇で覗いてみれば貴方の姿が見えなかったから探しただけよ。それにしても――」
そう言うと紫は隙間から降りて霊夢の顔を覗き込みクスリと笑った
「何か嫌なことでもあったのかしら?眉間に皺が寄ってるわよ」
「後片付けの事考えたら気が滅入っただけよ。全く、毎日毎日懲りづにやって来て酒ばっか飲みやがって。誰が片付けてると思ってるのよ」
紫の言葉に胸の奥に溜まっていた不満を吐き出す。彼女も少し酔っているらしい
「それに弾幕ごっこもしてないらしいじゃない。何時もならストレス発散とか言って自分からやるのに」
「今日は調子が悪かったのよ」
「そんなに悪い様には見えないけれど。もしかして負けるのが嫌だっかのかしら」
「そんな訳ないじゃない」
「そうよね。弾幕ごっこの創作者が調子が悪いだけで負けるわけがないものね。なんせ神様にまで勝ったんだから」
そう言うと紫は霊夢の隣に座り霊夢の持っていた酒を奪った一気に飲み干した。霊夢も止めようとしたが既に時遅く杯は空になっていた
「こうやって人間と妖怪が一緒に酒を飲むのも弾幕ごっこのお陰ね」
「どうしたのよ、いきなり黄昏ちゃって」
「偶には良いじゃない。昔は酷かったのよ。毎日妖怪が人間を殺しまわって、それを博麗の巫女が―――」
「もういいわよ、その話は。耳に胼胝ができるほど聞いたわ」
霊夢が紫の言葉を遮る。だが、その言葉に力はなく酔いが回ったのか瞼が半開きになり眠そうな表情をしている
霊夢の前の代まで人間と妖怪の争いは続いていた。妖怪は恐怖を得るために人間を襲い、博麗の巫女は人間を守るために妖怪を退治する。そんな無限続くかと思われた鼬ごっこも今代博麗の巫女である霊夢の考えた『
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