ウィザード・トーナメント編 前編
ウィザード・トーナメント開幕
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
今日は待ちに待ったウィザード・トーナメントの初日。世界各国の魔術士が頂点に至るために競い合う世界規模のイベントの1つだ。大会の会場は魔法やオカルトの類いを好む人々が多いと言われているイギリスにある。
ウィザード・トーナメントは1回戦が約10日間に渡って行われ、それから2日後に2回戦が行われる。大会の内容は衛生によって上空からリアルタイムで放送される。大会の内容もかなり濃いため、ウィザード・トーナメントの放送は大会が終わるまで終わらない。分かりやすく説明するなら「24時間テレビ」が何十日にも渡って続くような感じだ。
「なぁ知ってるか誠。今イギリスに向かってるこの飛行機。マーリン学園長の権限で貸し切り、俺たちは無料でイギリスに行けるんだってよ。ヤバいよな。」
「..........。」
(ヤバい.....。)
さっきから武者震いなのか緊張してるのか分からないが震えが止まらない。昨日の晩にイギリスに行く準備をしていた時からソワソワして「俺は遠足の前の夜の小学生か!」なんて自虐を吐きながら準備を終えたが、結果を言えばその後もろくに寝られず今は寝不足だ。
少しずつ強くなっていく震えと圧迫感と寒気と寝不足で今の俺はすごく体調が悪い。だがそんなに慌てることはない。飛行機が飛び立ってまだ数十分。これから数時間も掛けてイギリスに行くのだから寝るには十分だ。ひょっとしたら今寝てイギリスに着けば時差ボケを感じないで過ごせるんじゃないかとさえ思った。
深呼吸をして目を閉じ、頭の中を空っぽにする。やがて思考の及ばない深くまで入っていく。敢えてイメージを挙げるなら海に沈み始めて、やがて光が差し込まないところまで沈んで来たような気分だ。ここまで来ると意識しない限り思考が働くことはない。そして俺は死んだように眠り始めた。
パチッと瞼が開く。寝たのは確かなんだろうが時間が経過した感覚がない。一瞬だけ瞼が閉じたような感覚だった。たまにこんなことがある。徹夜した次の日は無意識のうちに睡眠状態に入り、目が覚めても寝た感じがしない。瞬きのうちに時間が飛んだかのような感覚になる。
まだ飛行機の中だ。イギリスに到着するまでまだ数時間は時間が余っている。こんな時のために音楽プレイヤーを持って来ていて良かった。イヤホンを繋いで音楽を流す。もともと曲を聴くのが好きだったから俺の音楽プレイヤーには100曲くらい入っている。
(ちょっとトイレに行きたいな。)
催したというよりは単純に手洗いに行きたいだけだ。一度寝たとはいえまだ少し落ち着かない。隣りで寝る友達を起こさないように静かに座席を立ち、機内のマップでトイレの位置を確認すると、そっちに向かった。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ