21 洋琴(ピアノ)
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話を聞き、城ヶ崎の復帰に安堵していた。
「そりゃよかったね。永沢君、君も素直なとこあるじゃないか」
藤木が永沢を少し見直した。
「ああ、そりゃ、君と違って卑怯じゃないからさ」
永沢の藤木に対する態度は相変わらずだった。
(そんないい方しなくたっていいじゃないか・・・)
「あ、そうそう。城ヶ崎さんが日曜に洋琴を弾いてくれるって。藤木君も行く?」
リリィが招いた。
「そうだね、行ってみようかな・・・」
(日曜にリリィと一緒だなんて・・・)
藤木は気が高揚していた。
「藤木君、君もしかしてリリィと一緒で喜んでいるんじゃないだろうね?」
永沢が心の中を見抜こうとした。
「う・・・」
「別にいいじゃない。藤木君も仲直りに協力してたんだし」
リリィは嫌ではなさそうだった。
こうして日曜、藤木は城ヶ崎家に向かった。
「おーい、永沢君」
「ああ、藤木君」
藤木は太郎を連れている永沢に出会った。
「やあ、太郎君」
「たあ、たあ」
太郎は喜んでいた。
「太郎君、城ヶ崎さんに会うのを楽しみにしているようだね」
「そりゃそうさ。あれだけ遊んでもらったからね」
永沢は無表情で言った。
三人は城ヶ崎家に到着した。
「こんにちは」
「やあ、こんにちは」
城ヶ崎の両親が出迎えた。
「娘は居間で待っているよ」
城ヶ崎の父が言った。藤木たちは居間に向かうと、城ヶ崎がその場にいた。髪型は普段と異なりポニーテールにしており、服は紫のドレスだった。
「いらっしゃい、太郎君、永沢、藤木。この服パパに買ってもらったの。今度のピアノ発表会で着るつもりだけど、今日は皆にサービスでこれを着てを弾くわ」
藤木は城ヶ崎がいつもより美しく見えた。永沢は無愛想な顔だったが、その反面、太郎は城ヶ崎に笑顔を見せていた。
「あー、あー!!」
「太郎君、城ヶ崎さんが綺麗で惚れたみたいだね」
「ああ、そうだね・・・」
その後、リリィたちも到着して、全員が集合した。
「それじゃあ、ピアノを弾くわね」
城ヶ崎はピアノを弾き始めた。皆城ヶ崎のピアノの音色を心地よく聴いていた。城ヶ崎が全曲弾き終わると、拍手喝采だった。
「あー、あー!」
太郎は城ヶ崎のピアノに非常に満足しているようだった。
「太郎君、ありがとう」
城ヶ崎が太郎に感謝した。藤木は太郎とピアノを通して、永沢と城ヶ崎が仲良くなればと思った。
数日後、教室で永沢と城ヶ崎は口論していた。藤木とリリィはその様子を傍観していた。
「本当に仲直りしたと思ったのに・・・」
「まあ、二人の喧嘩はやっぱりこのクラスに欠かせないものなのかもね・・・」
結局はいつもの永沢と城ヶ崎の姿に戻ってしまい、やれやれと思う二人だった。
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