21 洋琴(ピアノ)
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再び来たのだった。
「あら、永沢さん」
「再びお邪魔してすみません。ウチの子を連れてきました。ほら、お兄ちゃん!」
「う・・・、すみません」
「まあ、今すぐウチの子呼びますね」
城ヶ崎の母は娘の部屋に来た。
「姫子、永沢君よ」
「永沢っ!?」
「うん、謝りに来たんだって」
「ええ、分かったわ」
城ヶ崎は母と共に玄関に出た。
「永沢・・・」
永沢の母が息子に催促する。
「ほら、お兄ちゃん、謝んな!!」
「わかったよ、城ヶ崎、一昨日はあんな酷いこと言って本当にごめん。それから太郎と遊んでくれてありがとう・・・」
永沢が恥ずかしがりながら謝った。
「わかったわ、もういいのよ。私は永沢のような苦労を知らないから永沢を怒らせるようなことしてたんだし、あんたが文句言いたくなるのもわかるわ」
「そんな、姫子ちゃんは何も悪くないわよ」
永沢の母が言った。
「いえ、私も贅沢しすぎていたんです」
「そんな、姫子ちゃん、責めないでよ」
「いえ、私も永沢にきつく当たったこともありますから・・・」
「あの、城ヶ崎・・・」
「ん?」
「君をこんなにさせた僕が言うのもなんだけど、やっぱり君がいないと、クラスが寂しいんだ。笹山たちも寂しがっているし、どうか学校に戻ってきてくれ・・・」
永沢は泣きながら言っていた。
「わ、わかったわ。あんたも反省しているようだし・・・」
城ヶ崎は永沢につられて自分も泣きそうになっていた。
「まったく、お兄ちゃん。あんたもうこんな事すんじゃないよ。それじゃあ、失礼します」
そう言って永沢の母は息子を連れて帰ろうとする。その時、城ヶ崎が止めた。
「あ、待ってくださいっ!永沢、またこれからも太郎君と遊んでもいい?」
「あ、ああ、太郎も君に懐いているしな・・・」
「なら、今度の日曜、太郎君を連れて私の家に遊びに来て!太郎君にもまたピアノを聞かせてあげたいし・・・」
「わかったよ。じゃあな・・・」
永沢はそう言って去った。城ヶ崎は母に言った。
「ママ、私また学校に行くことにするわ・・・」
「姫子・・・分かったわ」
翌日、城ヶ崎は学校に復帰した。彼女の不登校生活は2日で終止符が打たれたのだ。
「城ヶ崎さん!!」
笹山が出迎えた。
「笹山さん・・・。私学校に戻れるようになったわ・・・」
「よかった。皆心配していたのよ・・・」
「城ヶ崎さん!!」
まる子やたまえ、とし子、リリィが城ヶ崎の復帰を喜んで集まった。
「よかった〜、学校に行けるようになったんだねえ」
「ええ、昨日永沢がウチに来て謝ったの」
「永沢が!?」
とし子が驚いて言った。
「うん、それに太郎君と遊んでありがとうとも言っていたわ」
「そうなんだ・・・」
その後、藤木もリリィから
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