暁 〜小説投稿サイト〜
異世界に転生したら、強くてニューゲームでした。(編集中)
変化
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の姿は、あっという間に見えなくなった。ここから王城までは、あまり遠くない。すぐに戻ってくるだろうから、それまでに、お兄様とスィエルの遺体を片付けなくては。あんまり、見てて気持ちの良いものではない。お兄様から片付けようと、振り返ると、お父様が立ち上がるところだった。足元に横たわるお兄様の遺体の顔には、白いハンカチがかけられている。

俯いていた顔を上げた。目元は赤く、腫れているが、背筋は伸びていた。いつものお父様だ。

「イヴ。すまなかったな、取り乱したりなんかして。お前はこんなこと初めてなのに、頼れる人がいなくて不安だったろう。ありがとう、私とダレンを助けてくれて。」

体ごと向き直る。

「いえ、僕は…、お兄様も、結局助けられませんでしたし…」

そう言ううちに、また目尻が滲んだ。目が赤くなったのを悟られないように、ぱちぱちと、瞬きを繰り返した。

「泣くな、イヴ。辛いことだが、この職務についていれば、こんなこともある。仕方がないんだ。今回は、それがたまたまダレンで、その場にいたのがイヴだっただけなんだ。自分を責めるな。……王城の方にも、連絡を入れてくれたんだろう?こんな状況でも、しっかり動いてくれてありがとう。」

お父様の言葉は、確かに正論なのかもしれない。たまには、こんな悲しい事故も起こるのかもしれない。

でも。

まっすぐ前を向く。汚れてしまった服を着たお父様の奥に、王城の兵隊を乗せたフロルが戻ってくるのが、遠く見えた。


仮にも貴方は父親でしょう?愛すべき息子が、貴方を庇って亡くなったんだ。さっきまで、貴方も泣いていたじゃないか。それが、なんで……。

そんな、何でもないことみたいに、切り替えられるの?

言ってたじゃないか。何者かに呪術をかけられてるって。それを、かけたやつの仕業じゃないのか?

なんで、冷静なんだ。なんで、なんで……?

悲しく、ないの?
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