最終話「人の光」
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あった竹刀を握った。
「僕も、少なからずアムロにライバル心を燃やしてるんだ。でも、僕が装着しているMSは量産された、ただのガンキャノンで、遠距離からの支援射撃だけしかできない地味な機体だよ。それに比べて、アムロはガンダムに乗ってカッコよく戦っているんだ。けど、僕は今持っているこの力でアムロに勝ちたい。今の愛機のガンキャノンで……だから、いくら勝ちたいからって、誰かの力をもらってアムロに勝とうなんて僕は嫌だ。周囲のガンダムと競うにも僕は同じ力を求めはしない。ズルをしたくないっていう維持があるんだ! 剣道に励んでる君ならわかるはずなのに!!」
隼人の理由、それは今の己の力でアムロや他のガンダムに勝つことだ。量産型だからと言って低評価するのではなく、装着者としての実力の差が実在することを世の人間たちにわかってもらいたい。
「よせって! 二人とも……」
ジュドーが止めに入るが、しかし次にカミーユがこう言う。
「確かに……お前の姉貴は国際指名手配犯のお尋ね者なのに、どうしてこうも簡単に会うことができるんだよ? お前、もしかして束とグルじゃないのか?」
「なんだと? キサマァ……!」
「もうやめて!!」
エルが怒号を上げた。そして、静かにすすり泣きだしてしまい、そんな彼女の鳴いている姿を見ると、周囲はまた静まり返る。
「過ぎたことなんて……どうでもいいじゃない! 今はさ、アムロのことを考えてよ……? 明沙が、ああなってんだからさ!?」
耐えきれなくなった彼女は、ルーに抱きしめられて思いっきり泣き出してしまった。
「エル……ごめん」
出過ぎたと隼人は謝罪した。
*
僕は、明沙を連れて波打つ岩場へと向かった。偶然なのか、晴れていて夜空ははっきりと見えた。これなら、明沙も満足してくれるだろうな?
「この辺でいいかな?」
しかし、明沙は目を閉じているのに、なぜか心地よさそうな表情をしている。きっと、僕がしたことをわかっているのだろうか? でも、やっぱり明沙は眠り続けている。
「ねぇ? 覚えているか? 初めて一緒に夜空を見たことを……」
僕は、かつての思い出を語った。
「……父さんと母さんが留守の時、僕は明沙の家に預けられてさ? 一緒の部屋で寝る前に、いつも窓辺からこうして星を見たよな? 流れ星が早すぎて、願い事なんて言いきれなくてさ? あの時の願い事、まだ覚えているかな? 僕はもう半分忘れかけているけど……確か、いつまでも僕と一緒に……」
そのとき、また僕は涙を流した。また耐え切れずに僕は泣き出した。もう、二度とかなわなくなった願い事の儚さと、今の現実に耐えることができずに……
「明沙……僕を一人にしないでくれ……!」
僕は、力いっぱい明沙を胸に抱きしめた。彼女の抜け殻のような体からはいまだに温盛と、いい香りは残っているも、それがいつ
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