暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜《修正版》
ALO編ーフェアリィ・ダンスー
21.友の為に
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うちに手を伸ばしていた。もちろん、大氷柱の下端まででもゆうに二百メートル以上の空間がある。たとえ地下飛行可能なインプ族でも到底届かない距離だ。
隣で今すぐにでも飛び立とうとしているインプの首の襟をを掴んで静止させる。
するとキリトの肩に乗っていたユイが鋭い声を発した。

「パパ、東から他のプレイヤーが接近中です! 一人……、いえ、その後ろから二十三人!」

「……!!」

二十四人。明らかに、邪神狩りを目的とした連結(レイド)パーティーだ。
本来なら遭遇を待ち望んだ相手で、パーティーに入れてもらえれば階段ダンジョンから地上への脱出ができる。
しかし、今この状況で接近してくるプレイヤーたちの目的は──
唇を噛み、東方向を睨むと、数秒後、さくさくと雪を踏む音が微かに届く。シルフでなければ聞こえないボリュームで、姿は見えない。恐らく隠行魔法で姿を消している。
手をかざし、看破魔法を詠唱しようとするがそれよりも早く十メートルほど先に水の膜を破るように、一人のプレイヤーが出現。
男性だ。
青みがかっるほどの白い肌、同じく薄い水色の髪。水妖精(ウンディーネ)族だ。肩には小型の弓を掛けている。
装備のグレードの高さやその立ち姿から彼が手練れのプレイヤーだということを告げている。

「あんたら、その邪神、狩るのか狩らないのか」

それがトンキーのことを指しているのだとわかった。
とっさに答えられずにいると男は険しい表情で続けて言った。

「狩るなら早く攻撃してくれ。狩らないなら離れてくれないか。我々の範囲攻撃に巻き込んでしまう」

その言葉が終わらないうちに、男の背後からパーティーの本隊が追いついてくる。二十数名のプレイヤーが姿を現し、全員が白い肌に青系の髪をなびかせていた。つまり、この邪神狩りパーティーは、全員がウンディーネ族になる。
もし《脱領者(レネゲイド)》による混種族パーティーならば同じシルフ、スプリガン、インプのリーファたちを見逃してくれたに違いない。むしろウンディーネ族だけとなれが別種族であるリーファたちをキルした方が好都合なはずだ。好都合な獲物がいるのに忠告してくれているだけでも有り難く思わなければいけない。

───でも、今だけは無理を通さなければいけない。あたしたちを仲間だと思ってくれたトンキーを殺させるわけにはいかないもの。

リーファはトンキーを庇うように立って青髪の男に言う。

「……マナー違反を承知でお願いするわ。この邪神は、あたしたちに譲って」

それを聞いた男と、その後ろのパーティーから軽い苦笑いの気配が流れた。

「下級狩場ならともかく、ヨツンヘイムに来てまでそんな台詞を聞かされるとはね。『この場所は私の』とか『そのモンスターは私の』なんて理屈が通らないことくら
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