シレーナの封じた過去編-8-?
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第五階層
「うっ!」
次の階層の記憶の舞台もシレーナの家だった。だけど……
「ほこりくさっ!」
「物が全部ほこりで真っ白になってるね…」
第三階層では指ですくうと少しほこりが付く程度だったけど、第五階層じゃ……。
置いてある物すべてほこりで真っ白になってて、部屋中ほこり臭くて息ができない。ここにずっといたら絶対、体の何処かに異常がでそうだ。
「奥様が出て行って、さぞ苦労されているのでしょうね」
「…うん」
そうか…。シレーナは今お父さんと二人暮らしなんだっけ。
…男一人ですべての家事をやるのは大変だよね。わかります。
「ここにまた連れて来られたって事はまたここでなにかあるってこと?」
「はい。正確には“あった”ですねどね。…おそらくは何かあります」
「……二人を探そう」
「ご主人様積極的〜♪」
パピコさんのからかいの言葉はこの際無視して、僕は一つ一つ丁寧にドアを開けてシレーナとお父さんを探した。
…どの部屋も長年使われていないのかな? ほこりまみれで白く染まっている。
「…あ」
「居ましたね」
第三階層でお父さんとお母さんが夫婦喧嘩していたリビングで楽しそうにお喋りしているシレーナとお父さんがいた。
心なしかお父さん。痩せ衰えたように見える…。やっぱりいろいろ辛く苦しいんだな。
それにシレーナも明るく元気に振る舞っているけど、どうみてもあれは空元気だ…。
『なぁシレーナ。二人で何処かに旅行に出かけないか?』
『旅行?行きたい!行きたいっ!……あっ、でもお父さん。お金は…どうすの?』
『大丈夫。お父さんの親戚の家に遊びに行くだけだから。旅費は全部その親戚の人が代わりに払ってくれるんだ。って……あっ』
『あぁー!?お父さん今、親せきの家に遊びに行くだけって言ったー!!もうっそんなの旅行じゃないじゃんっ』
『ごめんごめん。でも遠くに行くから少しは旅行っぽくなるよ。なんてたって国境を超えるんだから』
『……こっきょう?』
『そうだよ。海の国から隣にある森の国へ行くんだよ』
『わぁー外国に行くの!?言葉は大丈夫かな?』
『あはは。大丈夫大丈夫だから。さ、準備しておいで』
『はーい。森〜森〜♪』
『………』
良かった!家が荒れていたからどうなるかと思っていたけど、旅行に行けるなら大丈夫だよね!
二人とも元気になって良かった。
「本当にそう思います?」
「……えっ?どうゆう意味?」
「見てください」
パピコさんが指さすのはせっせっと旅行に行く準備をしているシレーナを温かい目で見守っているお父さんだった。
普通の光景だと思うけど…それがどうしたんだろう?
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