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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第一部 佐為編(桐嶋和ENDルート)
第24話 中国棋院
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中国の女流棋士については質問したが、やはり日本と同様に中国も囲碁界では男性と女性の圧倒的実力の差があるとのこと。しかし中国女流1位の女性が韓国では最古のタイトル戦である国手戦に挑戦したという。彼女かと思ったが聞けば20年以上プロとして活躍する中国女流棋界の第一人者らしい。
「いくつかの棋譜を見れば分かるようにAiは中国ルールで打ってはいるし、ネットの一部でも中国の若手棋士なんて噂もある――」
こちらの反応を確かめながら楊海が言葉を続ける。
「けど、残念ながらAiのような打ち回しの棋士は中国にはいない」
「――というかAiの特徴的な打ち筋は日中韓のどのプロ棋士にも見られない」
「そこでオレの仮説だが……」
と言って話を進めていた楊海からいくつかの資料を受け取る。
「Aiはコンピュータ囲碁のソフトウェアじゃないかと疑っていた。
自慢じゃないがITにも詳しくてコンピュータ囲碁のプロジェクトを手掛けたりしてる」
「ネット碁のアカウントのAiだってArtificial intelligence、人工知能の略だろ? 捻りも隠す気さえない」
「専門的な解説は割愛するけど……Aiの非人間的な着手は、モンテカルロ木探索を実装した囲碁プログラムの動きと似ているところがある」
「まあ今のところコンピュータ囲碁のレベルは強くてもアマチュア4段ほどだ。
そしてプロ棋士に並ぶのは早くても後20年以上かかると言われているな」
「だから国家か大企業がスーパーコンピュータでも使って秘密裏に開発した人工知能を実験してるのかとさえ疑ったよ」
「けど棋譜を集めて調べるほど囲碁AIに存在するはずの共通の弱点がAiには見当たらなかった」
「まずは正確さが必要な長手順の読み。死活や攻め合い。左右両側から絡めるような複雑な手順。あとはコウだな。」
「SFの世界じゃないけど、まるで未来の囲碁アンドロイドが現れたのかと思ったよ」
「じゃあ楊海はAiはヒトではないと?」
「まあ突拍子もない話だろうけど、最初に中国の囲碁界については話をしただろう?
今は国を挙げて人材を発掘してる。中国は各省にプロ棋士がいる。
その中で素質ありと認められ者がここ北京に集められる。競争は厳しい。成績が悪いと地方に戻される――」
「だからこそAiくらいの棋力を持つ若者がいるなら、地方出身者だろうが関係なく、北京まで連れられてくるよ。お金にならないネット碁だけで満足するなんてありえないからね」
「ま、せっかく来て頂いたのに何の参考にもならない推測だらけの話で悪かったね」
「いえ。とても役に立つ話が聞けました。ありがとうございます」
「神の一手を極めるのはコンピュータだと言ったら笑うかい?」
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