第八幕:閉ざされた虹
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色の事も気になるが、それは俺の興味本位なだけだ。七夏ちゃんの事で、もっと気になる事がある。
時崎「・・・いえ、七夏ちゃんの見ている虹の色について・・・です」
凪咲「え!? 虹の色?」
時崎「はい。七夏ちゃんは、虹色が他の人と違って見えるって話してくれて・・・」
凪咲「そう・・・七夏が・・・」
凪咲さんの話によると、虹の他にも他の人と違って感覚される物があるらしい。「シャボン玉」や「眼鏡」といった、条件によっては七色に見える色が当てはまるようだ。
凪咲「ありがとう・・・柚樹くん」
時崎「え!?」
凪咲「七夏の事を、第一に考えてくれて・・・」
七夏ちゃんの事を第一に・・・。俺は凪咲さんの「ありがとう」がすぐに理解できた。凪咲さんの表情から、七夏ちゃんの瞳の事を訊かなかった事だと。七夏ちゃんの瞳の事を聞くのは『自分が第一』な考え方だからだ。凪咲さんも、アルバムを見て、七夏ちゃんの瞳の色の事ではなく、笑顔が無い事を気にしている。凪咲さんにとって、七夏ちゃんの瞳の色よりも、七夏ちゃんの心の方が大切だと言う事なのだろう。
七夏「あ、柚樹さん・・・と、お母さん!?」
七夏ちゃんがお風呂から上がったようだ。そう言えば、結構な時間が経過している。
時崎「お、七夏ちゃん、結構長風呂さんだったね」
七夏「はい☆ 今日は、のんびりです♪」
凪咲「な、七夏!」
七夏「は、はい!?」
凪咲「お風呂上りなら、ちゃんと水分取らないと・・・今、冷茶煎れるから・・・」
そう言うと、凪咲さんは、七夏ちゃんの方を見る事無く、台所へ移動する。
七夏「お母さん、どうしたのかな?」
時崎「さ、さぁ・・・」
俺は、気の効かない返事をしてしまい、七夏ちゃんに状況を悟られないか少し焦る。
七夏「あっ! 私のアルバム!?」
時崎「え!? ああ、さっき凪咲さんが見せてくれて・・・」
七夏「な、中を見たのですか?」
時崎「ま、まあ・・・その・・・まずかったかな?」
七夏「・・・いえ。ただ・・・・・」
ただ・・・その言葉の先は、鈍い俺でも分かる・・・ので、俺は話題を変える。
時崎「七夏ちゃん!!」
七夏「は、はい!?」
時崎「今日撮った写真、七夏ちゃんにも渡すから!」
七夏「ありがとうです☆」
とは言ったものの、今、手元にプリンターが無い・・・。デジタルの写真機は便利だが、こういう時の機動力/瞬発力の無さは進化していない・・・。最も、プリンターのインクで印刷した写真は、長期保存に適さないので、俺は写真屋さんでプリント依頼をする事が多い。プリントするのに写真屋さんへ出かけるのは、写真を現像する事と然程変わらないのだが、良い写真は、ひと手間を惜しんではならないと思っている。
時崎「明日、写真屋さんに
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