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子供を戻すには
第五章
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「お話を聞きましょう」
「何はともあれだね」
「人のお話は聞かないとでしょ」
「うん、それはね」
 幾ら信じなくてもだとだ、トマットソンは理性的な人物でもあるので妻の言葉を素直に聞いて頷いた。
「そうだね」
「それじゃあ聞きましょう」
「わかったよ、ではお願いします」
 トマットソンはヘルナイゼンに礼儀正しく返した。
「お話をして下さい」
「はい、それは」
 こうしてだ、ヘルナイゼンはこの場合どうしていいかを夫婦に話した。話を聞き終えた夫婦はそれぞれ言った。
「じゃあ今から」
「お家に戻ってですか」
「そのうえでそうすればですか」
「子供は戻ってきますか」
「はい」 
 その通りだとだ、ヘルナイゼンは穏やかな声で答えた。
「そうなります」
「若し貴方の言う通りなら」
「それならです」
「そうです、ではお家に行きますか」
「では戻りましょう」
「今から」
 二人はヘルナイゼンの言葉に頷いてだ、そのうえで。
 実際に家に戻った、教授役のヘルナイゼンを連れて。そうしてだった。
 揺り篭の中ですやすやと眠っている赤子を見た、二人と共にいるヘルナイゼンもまたその赤子を見ていたが。
 見てだ、二人に言った。
「言い伝えにある通りです」
「この赤子はペーターではなくですか」
「トロルの子ですか」
「そうです」
 はっきりとした返事だった。
「肌の色も鼻の形も」
「それで、ですか」
 トマットソンはヘルナイゼンに応えた。
「この赤子をですか」
「はい、今からです」
「貴方が言われた様にすれば」
「子供は絶対に帰ります」
「では」
「はじめられて下さい」
「わかりました」
 トマットソンはヘルナイゼンの言葉に頷いた、そうして。
 ビルギットと顔を向け合って頷き合ってだ、赤子を二人でだ。
 殴って蹴って持ち上げて放り落とした、壁に叩きつけて徹底的に虐待をした。すると赤子は忽ちのうちに凄まじい泣き声で泣きだした。
 するとだ、何処からかだった。
 赤い服とキャップ帽と靴を着た一メートル程の背丈の緑の肌と曲がった大きな鼻、赤子とそっくりの顔の者が出て来てだ、こう言ってきた。
「止めろ!うちの子に何をする!」
「ああ、この子はあんたの子か」
「そうだ!」
 緑の肌の男はヘルナイゼンに憤怒の顔で答えた。
「この子の父親だ!」
「そうだったのか」
「それでうちの子に何をしている!」
「見た通りだが」
「子供を虐待するとは何事だ!」
 緑の肌の男はヘイナイゼンに怒ったまま言った。
「わし等トロルはそんなことは絶対にしないぞ!」
「だから止めろというのか」
「そうだ、そんな酷いことはするな」
 トロルはまだ怒っていた。
「さもないと許さないぞ」
「止めて欲しければ子供
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